博報堂が「界隈消費」に対する新ソリューションを発表

 博報堂の「生活者発想技術研究所」は10月24日、ソーシャルビッグデータを元にデジタルマーケティング支援を行うスパイスボックスと共同で、いわゆる「界隈」向けのマーケティングソリューション「界隈ENGAGEMENT」の提供を開始した。

 近年、同じ好みや興味関心を持つ人々の、主にSNS上でのゆるやかな集団として「界隈」という言葉が定着してきている。「界隈」は推し活や趣味、職業など幅広い領域にわたって存在しており、「界隈」の中や他の「界隈」に情報や流行が伝播することで、「界隈」を起点とする「界隈消費」が生まれている。

 博報堂は2024年に「界隈消費」に関するレポートを発表し、マーケティングプロセスとして「見つける」（自社ブランドと関連しうる生活者の集まりを発見）→「学ぶ」（見つけた人々の常識・課題を知る）→「盛り上げる」（より楽しく過ごせるサービスを提案する）→「広がる」（界隈内外に広がっていく）の４プロセスを提言してきた。今回リリースした「界隈ENGAGEMENT」も、このプロセスに基づいている。

 まずSNS上の投稿データを分析することで、自社商品や自社ブランドに関連しうる「界隈」をターゲット候補として発見する。それぞれの「界隈」がターゲットとして有効かどうかを検証･選定するための「ターゲット界隈MAP」の作成を行う。

（図表1）「ターゲット界隈MAP」のイメージ


 次にSNSデータを元に、「界隈」内で実際にエンゲージメントしている投稿や記事を抽出し、グルーピングすることで「界隈ごとの共感文脈」を可視化。共感文脈から図表2（下図）のような情報を割り出し、ターゲティングした「界隈」のユーザーに向けて効果的なコミュニケーションを策定する。

 各メディアでの情報発信のみならず、イベントや屋外広告、商品パッケージといったリアルなチャネルを含め、ターゲット「界隈」の特徴に合わせたマーケティング・ソリューションを提供する流れだ。


（図表2）「共感文脈」アウトプット例


 博報堂は「消費における存在感が増していくと予想される『界隈』に向けて、今後もマーケティング・ソリューションの実装を進めていく」とコメント。SNSの「界隈」を起点としたマーケティング活動は今後、活発化しそうだ。

※図表の出典はすべて博報堂プレスリリース