デジタルマーケティングで市場拡大を目指す #06

ユーキャンのAI(人工知能)活用にみる、事業会社の「機械学習」への向き合い方【鳥羽 渉】

機械学習-ユーキャンの具体的な活用例

 このような状況でAIを事業会社が活用するのは、やはり機械学習だと思います。そのためには自社開発ではなく、すでにAIを活用して成果を上げているツールやソリューションを自社課題に適用することが、事業会社として取り組むべきことではないでしょうか。

 具体的に、当社が導入しているソリューションは次の2点になります。
 

1.    広告のアトリビューション分析


 広告の効果を最大化するため、CPA基準の評価ではなく、認知段階で接触した広告も含めたアトリビューション効果の分析は重要です。これまでも広告をクリックしてくれれば、アクセス解析ツールで獲得までのサイト来訪回数やその順序などを把握できましたが、効果測定を自力で行うには、データが多すぎて法則性がつかめなかったり、最初の接触と獲得につながるラストクリックの重みづけによって分析結果が大きく異なったりと、実際の運用までは至らない状況でした。

 しかし現在では、対応可能なネットワーク内であれば、広告表示のみの状態も含めたアトリビューション分析を「機械学習」を用いたAIが実行し、各広告の獲得への寄与度を推計し、その結果を広告配信の予算配分に適用できるようになっており、当社でも活用しています。



 もちろん適用可能なネットワーク内での分析となり、他ネットワーク広告との接触や、Web広告以外の影響は加味できていないため、この分析結果のみを拠りどころに、全てのWeb広告を運用していくところまでは至っておりませんが、これまで手が付けられなかった分析が可能になった事は大きな進歩と考えています。
 

2.    サイト閲覧フローの分析


「機械学習」による分析はサイト外だけでなく、サイトアクセス履歴にも適用可能です。

 サイトでの獲得における分析は、アクセス解析ツールを利用し、獲得ページからの逆引きで閲覧フローを追うことで、獲得ページへの流入が多いのはどのページか、などを推察したうえでページの改善を行っていました。また、来訪ページからの推移を分析し、離脱が多いページの改善を行うなど、可能な範囲で改善を繰り返していました。ただ商品点数が多い場合、それぞれ獲得に至る経路が複雑化し、フロー分析だけでは全体的な概要の把握にとどまり、商品ごとの細かい改善まではできていませんでした。

 そこでサイトの分析にAIを活用しているツールを導入し、商品ごとに獲得に寄与しているページを抽出し、そのページへの流入を強化する改修を行ったところ、CVR改善の効果を得ることができました。

 以上が当社でAI、主に機械学習を活用した事例になります。

 AIありきではなく、自社の課題解決に必要な機能を活用することで、活用を容易にし、一定の成果につなげることができました。

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