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TaboolaがNTTドコモのプロモーションで実証した配信設計の新常識 デジタル広告の成果を高める「攻めのホワイトリスト」という考え方

  ECやD2Cの成長を背景とした広告主数の増加、生成AIの普及による広告量の増加、そして生活者の広告疲れ……こうした複合的な要因によって、デジタル広告で思うような成果が上げにくくなっていることに悩むマーケターは少なくない。

 この状況を受け、ネイティブ広告プラットフォームのTaboola(タブーラ)は、NTTドコモのプロモーションにおいて「ターゲットを意識して選択した配信面に対して、適切な頻度で広告を届けた場合、ユーザー行動はどのように変化するのか」を検証する実験を行った。

 その結果から見えてきたのは、「何人に届けるか」だけではなく、「どこで、どの頻度で届けるか」が広告の成果を左右するという事実。リーチの最大化、すなわち広告配信「量」偏重の考え方を見直し、「適切な場所で、適切な頻度で接触する」という接触品質を追求することが、広告成果と生活者の利益の両方を実現する可能性が高いことが明らかになった。
 

 

デジタル広告の「量」重視は限界を迎えている


 ECやD2Cの成長を背景とした広告主数の増加、生成AIの普及による広告量の増加、そして生活者の広告疲れ……こうした複合的な要因によって、デジタル広告で思うような成果が上げづらい状況が続いている。

 「予算を投下しているのにCVにつながらない」「リーチは確保できているのに態度変容が起きない」。配信技術が高度化した現在でも、こうした悩みを抱えるマーケターは少なくないだろう。

 この課題を解決する鍵のひとつは、これまでデジタル広告運用において重視されてきた「リーチの最大化」、すなわち広告配信「量」偏重の考え方を見直すことにあるかもしれない。

 デジタル広告の世界では長らく、「より安く、より広く届ける中で効率化する」ことが最適解とされ、配信面の質よりも量が優先される傾向にあった。しかし今回、Taboolaはその前提に真正面から問いを投げかけた。

 背景には、安価かつ広範なリーチを追求する中で、アドベリフィケーション(ブランドセーフティ、ビューアビリティ、アドフラウド)に関する課題が生じる可能性への懸念があった。

 

「攻めのホワイトリスト」という考え方


 Taboolaは、NTTドコモ(以下、ドコモ)のスマートフォン販売の春プロモーションにおいて、「ターゲットを意識して選択した配信面に対して、適切な頻度で広告を届けた場合、ユーザー行動はどのように変化するのか」を検証する実験を実施した。

 同一予算・同一期間・同一ターゲット(40代以上の親世代)という条件下で、配信設計のみを変えたA/Bテストを実施。比較対象としたのは、「ALL配信 × 低フリークエンシー」と「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」という2つの配信設計だ。

 「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」では、ターゲットオーディエンスが接触する可能性の高い75サイトに絞ったリストに対して配信。メッセージ理解を深めるため、低フリークエンシー配信(1回、ALL配信)と高フリークエンシー配信(3回以上、ホワイトリスト内)の両条件で、動画および静止画の広告キャンペーンを実施した。

 ここで特に重要なポイントとなったのが「ホワイトリスト」の再定義だ。

 従来、「ホワイトリスト」は“ブランドセーフティ”、つまり危険・好ましくないサイトへの配信を避ける「守りの運用」として語られることが多かった。しかし今回の施策ではホワイトリストを別の側面からとらえて、届けたいユーザーが実際に見ているメディアを積極的に選ぶという、「質の良いターゲットリスト」へと見方を変えた。いわば「攻めのホワイトリスト」といえる。

 広告主として出したくないサイトへの配信を防ぐだけではなく、今回の施策ターゲットである40 代以上の親世代と親和性の高いサイト群を選定し、「高い頻度で接点を持つ」配信面の設計を行ったのである。

 具体的には、日本国内約600以上の配信面と提携し、多様なジャンルをカバーするTaboolaの配信ネットワークを活かし、社会・ライフ系ニュースで幅広い世代に支持される「ハフポスト日本版」、共働き・子育て世代の親に強い「CHANTO WEB」、30~40代女性の暮らしに寄り添う「saita」、経済・キャリアで30~50代ビジネス層が日常的に読む「ビジネスジャーナル」、スポーツ・育成文脈で40代父親層との親和性が高い「FOOTBALL ZONE」など、40代以上の実際の閲覧行動に合致した優良メディア75サイトを「質の良いターゲットリスト」として選定した。

 実証実験の結果、広告パフォーマンス、ブランドリフトサーベイ(BLS)、そしてGoogle Analytics 4(GA4)の3つの数字から、「質の良いターゲットリストに対して、繰り返し広告を届ける」ことの有効性が明らかになった。順に、検証結果を見ていく。

 

適切な面で繰り返し接触すれば、広告は行動喚起につながる


 広告パフォーマンスを検証すると、「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」は、動画の視聴完了率、CTR、LP上でのボタン押下アクション数、CPAのすべてで、「ALL配信 × 低フリークエンシー」を上回った。特にCTRは+69%増進、CVポイントとして設定したボタン押下アクションのうち「店頭予約」は+32%増進、「オンライン購入」は+22%増進と、ともに良好な結果に。CPAは−20%改善する結果となった。
 
「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」の広告パフォーマンス
(「ALL配信 × 低フリークエンシー」との比較)


  注目すべきは、これらの成果が「同じ予算」「同じインプレッション数」の条件下で生まれたという点だ。つまり、「見てもらいたい場所で、繰り返し広告に接触したこと」が成果の差を生み出したといえる。

 また、動画と静止画を合算した全キャンペーンで比較すると、同一予算で「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」が CVポイントとして設定したボタン押下アクション数(店頭予約+オンライン購入)+620件と高い効果が出た。その結果から、「量だけのリーチ」より「質をともなった1リーチ」のほうが行動喚起に繋がるという仮説を裏付けるデータとなった。
 
動画と静止画を合算した全キャンペーン比較


 配信パフォーマンスと並行して実施したのが、ブランドリフトサーベイ(BLS)だ。「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」グループ(n=67)、「ALL配信 × 低フリークエンシー」グループ(n=67)、そして広告非接触者(コントロール・n=66)の3群を比較し、広告接触がユーザーの心理にどのような影響を与えたかを定量的に検証した。

 その結果、「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」グループの「購入意向」は「ALL配信 × 低フリークエンシー」グループの約3倍と、大きく上回る結果に。見てもらいたい場所で繰り返し広告に接触することが、「買いたい」「欲しい」といったユーザーの購買意向の変化につながっている。

 さらに、ドコモから提供されたGA4データによるサイト内行動の分析も行った。「広告経由のLP来訪後の行動品質」を検証したのである。

 配信タイプ別の平均セッション継続時間を見ると、「接触の頻度(ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー × リターゲティング)」と、その後のサイト滞在時間が段階的に連動する階段構造が確認された。

 
接触の頻度とその後のサイト滞在時間は
段階的に連動することが明らかに


 動画で高フリークエンシー接触を行い、その視聴者に対して静止画でリターゲティングを実施したユーザー群では、LP滞在時間が平均68.2秒に達した。これは全配信タイプ中、最も長いLP滞在時間だった。事前に複数回広告接触していたからこそ、自分ごととしてLPでもユーザーが理解を深めることができたといえそうだ。

 また、直帰率が全体的に低かったことも重要なポイントだ。これは、広告クリックが不当な誘導や意図しない誘導ではなく、メッセージを届けたいユーザーに着実に届いていたことを示している。

 ターゲットリスト化したメディア内で、繰り返し広告接触したユーザーは、LPでもしっかり情報を読む。検証結果は、このシンプルな事実を改めて裏付けた。つまり「広告接触の品質」は、その後の「サイト体験の品質」にも直結するといえる。

 

今後のデジタル広告配信に不可欠な、接触品質の設計


 今回の検証で、広告パフォーマンス、ブランドリフトサーベイ、そしてサイト内行動という3つの指標から一貫して見えてきたこと。それは、「何人に届けるか」だけではなく、「どこで、どの頻度で届けるか」が広告の成果を左右するという事実だ。

 無数のサイトが集まるネットワーク内で1-2回見せるより、ターゲットのことを考えた質の良い場所で複数回見せたほうが、人は動きやすい。

 もちろん、「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー」は、配信面を厳選するため、リーチは減少しやすく、単価も上昇しやすい。しかし今回の結果は、「質をともなった1リーチ」は、「量だけのリーチ」をある評価観点では上回ることを示した。

 重要なのは、大量配信による一側面の定量評価ではない。「広告を届けたい場所で、適切な頻度で、接触できているか」「適切な文脈で接触できているか」。その「接触品質」が、生活者の広告疲れを解消し、健全なコミュニケーションを実現するヒントになるかもしれない。

 ただし、「常にホワイトリスト≒質の良いターゲットリストが最適」というわけではない。今回は、商材が置かれていたフェーズとのマッチングによる部分も大きい。たとえば、新商品ローンチ初期には、ブロックリスト配信も含めて広く配信し、まず認知を拡大することが重要になる。一方、認知形成の後半や検討促進のフェーズでは、「ホワイトリスト配信 × 高フリークエンシー × 静止画リターゲティング」という設計が、より大きな効果を発揮しやすい。

 今回のプロモーションは、ドコモのスマートフォン発売の「春商戦」というタイミングだった。すでにドコモとドコモ扱いのスマートフォンの認知が形成された状態で、「どこで、どの頻度で届けるか」を設計することで、行動喚起ができることを実証したのである。

 デジタル広告の競争が激化し続ける中、単にリーチの量を追い求めるだけでは差別化できない。これから求められるのは、ただ広告を出すことではなく、「広告接触を設計する」ことだ。そしてその設計のひとつのヒントになるのが「質の良いターゲットリスト」である。

 積極的に選んだサイトでターゲット層に届けるという「攻めのホワイトリスト」という考え方は、ユーザーの広告接触体験の質を高め、広告の成果をも向上させていく新たなアプローチといえるだろう。

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