成果を出す「運用型広告」実現のための考察 #02

この記事内にリタゲ広告を入れたので「どのような広告に追いかけられているか」確かめてください【平野 裕亮】

成果を高めるリターゲティングリストの考え方

 リターゲティングリストの粒度を細かくする際に考えるべきは、来訪したユーザーのモチベーションです。自社で販売しているサービス/プロダクトがどこまで理解されているのか?その理解度に対する仮説をリターゲティングリストとして分類し粒度を決定します。

 手前味噌にはなりますが、その思考を整理するために下記のモデルを利用して説明しています。

 
図2:リターゲティングの思考モデル

 起点から遠いほど、ユーザーの興味が薄れているということを前提にしています。

 例えば、この図の離脱時間(リーセンシー)で、リターケティングリストを分類する場合を考えてみましょう。あくまで私が聞きうる限りになりますが、自動化を使わずに分類している場合、個々のプレイヤーの勘に頼っているケースが多く、その根拠が乏しい、もしくは全くないケースがほとんどです。言い換えれば、仮説が「ない」ということですね。



 リーセンシーの仮説は「離脱時間が長ければ長いほど理解度が落ちる(正確に言えば、記憶から零れ落ちる)」ことだと考えます。ただ、その尺度をユーザー調査なく正確に判断することは難しいため、「パレートの法則」を利用して、リターゲティングリストを分類します(Googleアナリティクスの機能のひとつである「初回訪問からコンバージョンするまでの期間(日数)」を利用するのが、最もてっとり早い、とは思います)。
 
離脱日数  コンバージョン数 全体に対する割合
0日 65 65%
1日 15 80%
2日 83%
3日 85%
4日 90%
5日 95%
6日~ 100%
表1:リーセンシーサンプル

 表1内で、80%を超えるラインは1日目。85%は3日目、90%が4日目、95%が5日目ですね。80%以上は、5%ずつリーセンシーを分けます。

 このケースで言えば、最低限必要なリーセンシーは「1日」。予算に余裕があり、それ以上のリーセンシーであるユーザーへ配信するのであれば、最大で「5日」。それ以上は配信するコストに対して獲得効率が落ちる可能性が高いため、配信しなくて問題がないわけです。

 参照元やサイト内回遊の数字を組み合わせると、膨大なリターゲティングリスト数になってしまいます。先に書いたように、粒度が細かすぎても仮説の検証に耐えうる検証数が足りなければ検証期間を長く取る必要があるため、サイトのボリュームに合わせてリターゲティングリストの設計が必要です。
 

「買うユーザー」にも広告を当てていませんか



 (2)についてですが、Frienge81の佐藤洋介さんが「タゲの成果が実は出ていないかどうかを調べるチェックリスト」内にて言及されています。

 一部、抜粋します。

「リタゲはサイトに来ているユーザを広告の対象とするため、コンバージョンしそうでしなかった新規ユーザの獲得に寄与するだけでなく、元々コンバージョンする気だったユーザの獲得にも寄与するため、全ての獲得が純増に繋がっているわけではないのです」

 「タゲの成果が実は出ていないかどうかを調べるチェックリスト」より


 リターゲティング自体を否定するわけではないですが、「そのリターゲティングは本当に効果があるのか」、盲信せずに設計を含め見直す必要がある事業主は多いのではないかと思います。

 次回は、デジタルマーケティングに必要不可欠なタグについてITPを含めて寄稿します。お楽しみにお待ちくださいませ。
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