コトラーアワード

コトラーアワードジャパン2019、最優秀賞は大塚製薬「ポカリスエット」のリブランドプロジェクト

 

高校生へのアプローチに成功、リブランド計画が受賞


 マーケティングの神様と評されるフィリップ・コトラー氏が10カ国で開催する「コトラーアワード」。その日本開催となる「コトラーアワードジャパン2019」の贈賞式が10月10日、東京・神田明神ホールで開催され、最優秀賞に当たるコトラーアワードに大塚製薬「ポカリスエット」のリブランドプロジェクトが選ばれた。

 同賞は「経営にマーケティングの力を」というコンセプトのもと、デジタル時代において企業のエンジンとなるべきマーケティングを展開し、コトラー氏が提唱する「マーケティング4.0」を実現している企業やサービス、人にスポットを当てる。今回は、大塚製薬「ポカリスエット」が商品のポジショニングを健康に寄与する日常的なドリンクへと変更に成功したこと。さらに、ターゲットである高校生に対して、親和性の高いクリエイティブをつくり、マス・PR・デジタルなどを効果的に組み合わせてリーチを獲得したことが評価された。

 壇上でコトラー氏からトロフィーを受け取った大塚製薬 取締役副社長の井上眞氏は、「2016年から3年ほど実施している企画。マスとリアルの融合を目指していたが、最初から設計したものではなく、その場で考えながら動かしていった。一番は若年層へのリーチを考えていたが、良かったのは製品の売上だけでなく、最終的に全国600校の学校から依頼があり、テレビCMのダンスを導入してもらったこと。若者の本気を引き出せたと思っている。今後もロングセラー商品の鮮度を保つよう努力していきたい」と挨拶し、喜びを表した。
 
受賞スピーチをする大塚製薬 取締役副社長の井上眞氏。

 また、創業10年以内で、もっとも優れたマーケティングを行ない、ビジネスを大きく発展させた企業・団体に贈られる「Startup Award」は、助太刀の「職人徹底攻略キャンペーン」が選ばれた。同社は、建築業界向けに労働者と雇用者をマッチングさせるスマートフォンアプリを提供。建設業界で著しい労働者不足という問題に対するソリューションで、社会的課題に対するイニシアティブをとっている点が評価された。
 
創業から2年で受賞でき、喜びのコメントをする助太刀の代表者。

 今回新設された、NewsPicksでのキャンペーンを通じて「マーケティング4.0」に取り組み、高い成果を出した企業を表彰する「NewsPicks Campaign Award」は、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドが選ばれた。同社は、スタートアップ企業の経営者へのビジネスカードの認知拡大、アメックスブランドへのエンゲージメント向上を目的に、NewsPicks内で連載、ゼミ形式のイベントなどを行い、オンラインとオフラインをミックスした結果、高い成果を出し、また、企画で生まれたコミュニティから資金調達を実現したスタートアップも誕生していることが評価された。
 
受賞スピーチをするアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドの代表者。

 審査員を務めたナイアンティック アジア・パシフィック プロダクトマーケティング シニア・ディレクターの足立光氏は、「昨年から審査員をさせていただいているが、今年は昨年にも増してたくさんの素晴らしいマーケティング施策の応募があった。審査員3人は違うバックグラウンドで色々なモノをウォッチしてきたつもりだが、それでも我々が知らない、こんな会社がこんな素晴らしい施策をしているのか、という発見があった。選考は意見が割れて難航した。その中から3つ選ばせていただいたが、それだけが素晴らしいというわけではなく、それ以外も素晴らしかったということをご理解いただきたい」と話した。

 
審査員を務めた、ナイアンティックの足立光氏。


「Kotler Award」は、日本では2回目の開催。主催はNewsPicks。初回となる昨年は、クラフトビール「よなよなエール」などを提供するヤッホーブルーイングなどが選ばれていた。
 
贈賞式の冒頭では、コトラー氏による講演会も行われた。

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