SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #09

位置情報まで共有する私たち。友人との“内向きなコミュニティ”で進化する多様な発信

前回の記事:
“トレンド”という呪縛から自由になった私たちは「自分に似合うもの」に夢中になる【りょかち】

外向けのブランディングのすぐそばで

 私がインターネット、特にソーシャルメディアについての文章を書いていく上で、何度も扱ってきたテーマが「ブランディング」だ。外向けの発信はこうすべき、いま支持されているのは、こんな発信方法で……など。

 友だち限定の投稿が主流だったmixiが衰退し、オープンでインスタントな投稿ができるTwitterにメインストリームが移行した中で、徐々に”個”の発信が力を持つようになった結果、セルフブランディングやオーガニックなソーシャルメディア運営が必須の時代になった。ソーシャルメディアとは、まさに現代を代表する存在であり、企業側から見ると消費者の生活に入り込む上で無視できなくなっている。



 けれど、外向けかつオープンな発信が進化する一方で、「内向きなコミュニケーション」もまた、独自の進化を遂げていることを忘れてはならない。

 私たちがソーシャルメディアを楽しんでいるのは、何も多くの人から「いいね!」をもらうことが目的ではないのだ。そして、その事実をあまりに無視しすぎていると思う。

 今回は、そんな現代人特有の”内向きの距離感”について話したい。

 

Facebook社が語る「Connect privately」なソーシャルメディア

 最近、Instagram Storiesに「親しい友だちリスト」が指定できるようになったのを知っているだろうか。

 Instagramのユーザーが増える中で、限られた友人だけに見せたい私的な情報を発信したいニーズを微かに感じていた私は、「さすがはFacebook」と思った。私の友人たちも、さっそくこの機能を使いこなして、恋人とのひとときや、個人的な心情を親しい友だち限定で配信している。

 一方で、全体に公開するのは何でもないレストランでの様子だったり、自分が参加しているイベントの様子だったりする。

 先日、Facebookの共同創業者であるマーク・ザッカーバーグも、自身のブログで、以下のように”限られたプライベートなCommunityが求められていく”流れを話している。
 
 “Over the last 15 years, Facebook and Instagram have helped people connect with friends, communities, and interests in the digital equivalent of a town square. But people increasingly also want to connect privately in the digital equivalent of the living room. As I think about the future of the internet, I believe a privacy-focused communications platform will become even more important than today's open platforms. Privacy gives people the freedom to be themselves and connect more naturally, which is why we build social networks.”

 過去15年間にわたり、FacebookとInstagramは、人々が友人やコミュニティ、そして街の広場に相当するデジタル空間への興味とつながるのを助けてきました。しかし人々は、ますますリビングルームのデジタル版で個人的につながりたいと望んでいます。インターネットの将来について考えると、プライバシーを重視した通信プラットフォームは、今日のオープンプラットフォームよりもさらに重要になると思います。プライバシーは人々に自分らしく、より自然につながる自由を与えます。それが、私たちがソーシャルネットワークを構築する理由です。

https://www.facebook.com/notes/mark-zuckerberg/a-privacy-focused-vision-for-social-networking/10156700570096634/

 現在の日本で展開される議論の中で、ソーシャルメディアの時代においての一般消費者は、どこか「いいね!をひとつでも多く欲しい」という文脈で語られがちであった。けれど、それは氷山の一角でしかない。

 私たちの周りを見渡せば、Instagramは、ほとんどロム専(読むだけで書き込まない状況)だし、投稿したとしても限られた友人にだけ見てもらいたいと思っている人がほとんどである。

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