植野大輔です。現在、DX JAPANという自分のビークル(会社)を通じ、トランスフォーメーション・アドバイザーとして様々な日本企業の変革を支援しています。

 企業変革における私ならではの大きな強みとしているのが、ボストンコンサルティンググループ(BCG)で戦略コンサルタントとしていくつもの変革プロジェクトを支援した経験に加えて、三菱商事、ローソン、そしてファミリーマートと複数の企業において、”当事者”として取り組んだ蓄積があることです。

 特に、ローソンでは新浪剛史さん(現サントリーホールディングスCEO)、ファミリーマートでは澤田貴司さんという変革を推進する稀代のリーダーと共闘させていただいたことは、貴重な経験です(なかなかなHARD THINGSでしたが 笑)。

 さて、世の中はと言うと、ビジネス流行語大賞と言っても過言でもない「DXブーム」です。とりあえず何でもかんでも「DXと言っておけ」という風潮があふれています。しかし、企業変革をキャリアの主軸に歩んで来た私からすると、真なるトランスフォーメーションとして私が見て来た“心象風景”とはほど遠いものが、残念ながらほとんどです。

 この連載では、“DXごっこ”で終わることなく、真なるトランスフォーメーションに挑まれる皆さまに、企業変革に求められるマインドとスキルをお伝えして行ければと思います。
 

「トランスフォーメーション」とは何なのか?




 毎日のように新聞もネットニュースにも、「DX」という文字のオンパレードです。うっかりDXとい二文字を使えば、それっぽく先端的な印象を与えるため、軽々しく用いてしまいがちです。

 当たり前ですが、DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」の略称であり、つまりはデジタル(による)企業変革を意味します。けっしてデジタル技術・ソリューションの導入ではなく、「企業変革」こそが核となる意味合いなわけです。

 多くの人は「D」のデジタルの方に飛びつくわけですが、本来の真意である「企業変革」の意味するところが、なかなか理解されていません。これは仕方のない部分もあります。なぜならば、日本国内で決死の企業変革を主導した人など少数しかおらず、なかなかそのリアリティが広く伝わらないという事情もあるからです。

 2010年代初期より、海外ビジネスシーンで広がったトランスフォーメーション(Transformation)と言う用語を直訳すると、「変容・変態」と言う意味です。生物的に言えば、サナギが蝶になるのがトランスフォーメーション(変容・変態)です。



 つまり、元の形態とは異なった生命体になっている、これぐらい変わってトランスフォーメーションと呼べるわけです。現行の形を維持したまま、それこそサナギがサナギのまま雨風にも負けず強くなったような、多少の改善・向上などは全くトランスフォーメーションではないのです。

 企業にあてはめると、「お客さんがまったく変わった」「商品・サービスがまったく違う」「さらに組織人員も一新されている」、これぐらいの変化を起こすのがトランスフォーメーションです。

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