キャラクタービジネス最前線!サンリオの改革を追う #03

サンリオピューロランド復活を実現させた、チーム間の「意識共有」方法

前回の記事:
サンリオピューロランド、過去最高の来場者数の背景には「お母さん型リーダーシップ」があった
サンリオピューロランドの来場者数が伸びている。2014年度に126万人まで落ちていた来場者は、2018年度には過去最高の219万人を記録した。その立役者として注目を集めているのが、2014年に顧問に就任し、2016年から館長を務める小巻亜矢氏だ。どのようにサンリオピューロランドを復活に導いたのか、小巻館長に話を聞いたインタビューの後編をお届けする。
 

復活を実現した、具体的な取り組みに迫る

——前回のお話では、社内でのコミュニケーションを大事にしたということですが、小巻さんが館長に就任されて始めた、新たな取り組みはありますか。
 
サンリオエンターテイメント 取締役 CDO サンリオピューロランド館長 小巻亜矢氏
 それは、先ほどの話にも通じるのですが、商品企画やイベント、宣伝、レストラン、グッズなど、各チーム間で「意識の共有」を行うことです。

 例えば、サンリオピューロランドでは、ハロウィーンやクリスマス、年末年始、バレンタイン、ホワイトデー、イースター、七夕、さらにキャラクターの誕生日など、シーズンごとに企画を仕掛けていきます。それぞれの季節ごとに核となるキーワードやモチーフを決めるのですが、それが各チームにしっかりと共有されず、ショーやグッズ、フードメニューなどが点での取り組みになってしまっていて、とてももったいない状態でした。

 そこで、それぞれを紐づけるために、2016年から始めたのが「コンセプト会議」です。企画チームがシーズンごとのコンセプトをまとめた段階で各チームに共有して、一緒に議論するようにしました。その場で「今回は、こんな音楽でいきたい」「今までになかった取り組みをしたい」といった思い、キーワード、コンセプトビジュアルが共有されるようにしたのです。
 
サンリオの人気キャラクター ハローキティ。館内では、一緒に撮影ができる。

——マーケティング施策としては、平日に若年層のママの来場を増やすための「ママ友割」、Instagramなどのデジタルメディアの活用などを積極的に行っている印象です。これまでさまざまな企画を仕掛けてきた中で、特にうまくいった取り組みは何でしょうか。

 いろいろあるのですが、まず思い浮かんだのは、キャラクター同士のコラボレーションです。従来は、他社のキャラクターとのコラボレーションや、全キャラクターを勢ぞろいさせた企画は、実施したことがありましたが、2017年に初めてカテゴリーが異なるサンリオ内のキャラクター同士のコラボレーションを行いました。

 コラボレーション企画を進めていくにあたり、ファンに対して調査したところ、肯定的なことが分かり、その結果を参考にしながら、サンリオピューロランド限定のキャラクターであるウィッシュミーメルのぬいぐるみ「メルメルードール」と「シナモロール」をコラボレーションさせました。その企画は大成功で、売上にも大きく貢献してくれました。

 特に発見だったのが、グッズの初動売上が非常に良かったことです。一般的にテーマパークでグッズが購入されるのは、お土産としての要素が強いのですが、今回はコラボレーショングッズが来場動機になっていました。この試みから「グッズが来場動機になる」という確信を得て、他のキャラクターのバースデーなどの企画にも応用しました。
 
ウィッシュミーメル人形

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