デジタル時代のブランドコミュニケーション研究会 #03Sponsored

キリン一番搾り 好調を支えるIMC設計。4つの瞬間に「マス×デジタル×リアル」で訴求 【研究会レポート】

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Facebook、Twitterなど主要プラットフォーマーを集結してワークショップ、ネスレ日本のデジタル広告戦略 【研究会レポート】
 1990年の発売から30周年を迎えたキリンビールの主力ブランド「キリン 一番搾り生ビール(以下、一番搾り)」は、2017年のリニューアル以来、売上を伸ばしている。

 第2回「デジタル時代のブランドコミュニケーション研究会」では、「一番搾りのマス×デジタル×リアルを組み合わせたIMC設計」をテーマに、キリン デジタルマーケティング部 主務の松尾太郎氏に講演してもらった。
 

消費者がブランドと接触する「4つの瞬間」

 
キリン デジタルマーケティング部 主務 松尾太郎氏

 講演の冒頭でキリン 松尾太郎氏は、消費増税・改正酒税法や酒税の一本化などの社会的背景を鑑みながら、2018年の方針として「主力ブランドへの集中投資」、ブランド戦略の基本的な考え方として「Quality with Surprise」を掲げたことに触れ、ビールカテゴリーの強化に挑戦したことを紹介した。

 「近年、お酒を飲まない若年層が増え、ビール離れも指摘されています。そうした中、キリンならではのビール類の楽しみ方をどのように消費者に提案し、市場を活性化させることができるかが大事になります。そこで一番搾りのリニューアル情報を継続して訴求することで、消費者との接点拡大を狙いました」(松尾氏)。

 従来型の“キリン主語”のマーケティングではなく、消費者理解を中心に据えたコミュニケーションを行うことで、ブランドプランを練り上げることが重要になる。その実現のためにキリンが設定したのが、消費者がブランドと接触する「4つの瞬間」だ。

 「我々はゼロ、第1、第2、第3という4つの瞬間を設定しています。ゼロは、お客さまがブランド情報に接触する瞬間。第1は、店頭でお客さまがブランドを購入する瞬間。第2は、お客さまがブランドを実際に使用し、評価する瞬間。第3は、お客さまがブランドとのさらなる繋がりを求める瞬間です」(松尾氏)。
 

「ゼロ」から「第2」の瞬間に合わせたアプローチ


 一番搾りでは、「4つの瞬間」に合わせて様々な取り組みを行っている。認知獲得期である「ゼロの瞬間」に有名タレントを起用したテレビCMや交通広告を展開。あわせて「Yahoo! JAPAN ブランドパネル トップゲートビジョン」や「YouTubeマストヘッド」など、リーチ面の大きなデジタル媒体にも積極的に出稿して、大々的な告知を行った。

 続いて、キリンが重要視している「第1の瞬間」(店頭購入時)では、購入までの情報接触に合わせた陳列やツールを活用した。

 「どのブランドのビールを買うかは、50%が店頭で決まります。そのため店頭での陳列を工夫して、情報接触の流れに合わせてツールもつくり分けています」(松尾氏)。

 一方で、「第2の瞬間」(飲用&評価)は、リニューアルのタイミングでサンプリングや全国7大都市での飲用体験イベントなどを開催した。

 「サンプリングはリアルでの申し込みやオウンドメディア経由で展開した企画もありました。飲用体験イベントでは、麦汁の違いを味わえるミニカップと軽食のセットを300~500円で提供し、まずは飲んでいただくことを優先しています。また、デジタルも絡めて体験型イベントを行うときはハッシュタグを設定し、Twitterでつぶやいていただくと、グラスを無料で進呈するなど、拡散性やトラッキングも意識しました」(松尾氏)。



 続く、ユーザーがブランドとのつながりを求める「第3の瞬間」は、デジタルマーケティングが強く関与する部分だと松尾氏は語る。

 「一度飲んでいただいたお客さまに継続的に買っていただくために、どうすればいいのかを考えて、DMPなどを使ってターゲティングした広告展開や、接点が増えるコンテンツをできるだけ多く展開しています。我われは『継続コンテンツ』と呼んでいますが、ファンに向けてメールニュースを届けるほか、『お客さまとの共創』をテーマにキリン全体や一番搾りのTwitterアカウントのフォロワーに向けてコンテンツを配信しています。また、美味しかったなど、コメントをされているお客さまに公式のアカウントからリプライして、地道な対話コミュニケーションも意識しています」(松尾氏)。

 今後については、広告と販促活動を連携させることで全体を最適化させて、ROIの可視化も細かく展開していくという。そのため、顧客データの解析とインフラの整備を行い、プライベートDMPなどを活用しながら、ユーザーの関心の高い商品やコンテンツを適切なタッチポイントで出し分けていく。

 「統合マーケティングという点では、これから強化していく段階だと思っています。『4つの瞬間』に会員データやDMP、分析など、次の一手をつなげていきながら、グループ全体に貢献していく動きをしていきたいです」(松尾氏)。
【特別募集】デジタル時代のブランドコミュニケーション研究会
聴講参加(オブザーバー) 受付中!


8/5開催の研究会では、「マス・デジタル連携」のあるべき姿について見直します。今回特別に研究会での講義や討論を聴講できるオブザーバー席を準備しました。※事前申込制

▼オブザーバー申込みフォーム https://nanovation.wufoo.com/forms/m6b8zht1aoqhll/

<第4回研究会 開催概要>
開催日:8月5日(月)
時間:16時~18時45分(研究会)※15時30分受付開始
   19時~20時(懇親会)※任意参加
会場:オプト東京本社 会議室
住所:東京都千代田区四番町6 東急番町ビル5F

<ディスカッションテーマ>
マス・デジタルの統合型マーケティングにおけるKPI設計・PDCA

<ボードメンバー>
アダストリア コミュニケーションデザイン本部長 久保田 夏彦氏
イトーヨーカ堂 執行役員 営業本部副本部長兼販売促進室長 富永朋信氏
オプト 執行役員 中野宜幸氏
キリン デジタルマーケティング部 部長 宮﨑知宏氏
KDDI コミュニケーション本部 デジタルマーケティング部長 井上慎也氏
すかいらーくホールディングス 取締役常務執行役員 和田千弘氏
日産自動車 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部 部長 堤雅夫氏
パナソニック コンシューマーマーケティング本部 担当課長 高須泰行氏
ライオン CXプランニング室長 デジタルコミュニケーション開発室長 大村和顕氏
リクルートコミュニケーションズ マーケティング局 コミュニケーションデザイン部 マネージャー 萩原幸也氏

<ゲスト講演者>
カンター・ジャパン Media & Digital
マネージャー 吉本潤一氏

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