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本田哲也氏が独立して見えた世界 「フレキシブルなチーム編成が業界に求められている」

 戦略PR会社ブルーカレント・ジャパンの代表取締役社長を3月末日で退任、4月にPRファーム「本田事務所」を設立し、独立した本田哲也氏。片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんのカンヌライオンズ登壇の裏側を聞いたインタビュー前編に続いて、後編では独立して3カ月が経った現在の心境と見えてきたクライアントの課題、今後の展望について話を聞いた。
 

プロジェクトごとに、PR版『オーシャンズ11』を結成


——本田事務所設立から3カ月が経ちましたが、現在の心境は?

おかげさまで、私の予想を超えた垂直立ち上がりができました。PR業界で20年間キャリアを積んできたので多少の自信はあったものの、あくまでグローバルファームの中での仕事だったので、不安がゼロだったかといったら、そんなことはありません。おかげさまでスタートして3カ月たった今、契約企業数は20社を超えました。
本田哲也氏
本田事務所 代表取締役社長

1970年生まれ。PRストラテジスト。99年、世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードの日本法人に入社。2006年、ブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。2009年に『戦略PR』(アスキー新書)を上梓し、広告業界にPRブームを巻き起こす。『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(田端信太郎氏との共著、ディスカヴァー刊)などの著作、国内外での講演実績多数。2019年に本田事務所を設立、現在に至る。

——3カ月で20社は、驚異的です。

コンペではなく、すべて指名でいただいている状況で、とても嬉しく思っています。ブティック型のエージェンシーと言ってもいいぐらいの規模になりました。

——本田事務所で具体的な業務に取り組むスタッフは、基本的には本田さん一人だと思います。どういうメンバーで仕事に取り組んでいるのでしょうか。

私一人で取り組んでいる仕事もありますが、フリーランスや副業など、信頼できる仲間15人ぐらいと、プロジェクトごとにチームを編成している状況、つまり「フレキシブルチーミング」で取り組んでいます。映画の「オーシャンズ11」みたいな感じです(笑)。

——本田事務所に発注した企業は、どのようなニーズを抱えていたのでしょうか。

ひとつは、PR戦略に特化して会社を立ち上げたことですね。PR市場は拡大していますし、戦略の策定や立案といったブレインワークが求められていると感じています。

もうひとつは、フレキシビリティのあるチーム編成が求められていることです。私が中立的な立場として独立したことで、クライアントも話しやすくなったようです。これまでは、ブルーカレント・ジャパンの本田哲也でしたので、もちろん他のPRエージェンシーから声をかけられることもなかったですし。

——フレキシティビティにニーズがあったというのは、クライアントが公平性を求めているということですか。

そうですね。シンプルに言えば、クライアントがもっと自由に「ショッピング」したいということでしょうか。例えば、ひとつのエージェンシーだけに何でもお願いしている状況は、経営的観点からもリスクであるという認識も強まっています。

クライアント側もスキルを身につけて内製化できる部分が多くなり、依頼事項が細分化されています。そうした中で、案件ごとに自由に付き合う相手を選びたいと思っています。

ただ、自由にショッピングしようとしても、誰に頼っていいのかわからないという面があります。消費者と同じように、企業側も賢くショッピングしたいという欲求を持つようになったということでしょう。



——フラットに意見が言えることが価値になっている?

はい。独立してニュートラル性が強調された面は、大きいと思います。私はPRとマーケティングの両方での経験があるので、「その内容であればPRではなく、広告という手段の方がいいと思いますよ」と客観的な視点で言えます。

 そこが、これまで誰も取り組んでこなかった「ホワイトスペースだった」と感じています。ビジネス系のコンサルタントも取り組んでいたと思いますが、どのエージェンシーで、どのぐらいの予算が適切なのか、具体的なエグゼキューションまで考えられる経験の持ち主は限られるのではないでしょうか。

——どのようなアドバイスをしていますか?

例えば、あるケースでは、「フリーランスのプランナーをこの期間だけ契約して、スモールスタートした方がいいですよ」「そのプロジェクトであれば、PRエージェンシーのAではなく、Bのあのチームがいいですよ」といったベストな座組みまで、アドバイスしています。

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