塾長対談 #01
足立光×伊東正明 対談:次の時代を担うマーケターは、どう育成する?
優秀なマーケターを育てるために必要なことは?
――優秀な人材の条件として、右脳と左脳を行き来して考えられることが挙がりましたが、どうすれば、そのような人は育てられるのでしょうか。伊東 僕は4つあると思っています。それは「技術の伝承」と「お手本を見せること」。そして、学ぶに当たっての「心構え」と「視点」です。
おそらく30年前のプロ野球選手とイチローの技術を比べると、誰もがイチローの方がスゴイと言うでしょう。同じように、現代のマーケターと20年後のマーケターを比べたとき、未来の方がスゴイはず。
なぜかと言えば、身につけたことを「技術」として伝承するのでラーニングの期間が短くなるからです。だから、そうした意識をもって、先輩が技術を「お手本」として見せて、真似させることが大事だと思います。
その次に、学ぶにあたっての「心構え」です。僕は「あなたが手に入れられるものは、あなたに相応しいもの」「300のマジックを覚えるよりも8つのマジックをいつどんなとき、どんなコンディションでも完璧に演じられるのがプロである」と伝えているのですが、そうした考えを押し付けるのではなくて、共有するぐらいの意識で伝えることが重要だと思っています。
そして最後が「視点」です。足立さんが「無双塾」で提供していることだと思うのですが、色々な人と出会うことで自分にない視点が得られます。アイデアをたくさん生み出すためには、色々な視点が必要ですからね。
足立 僕からは、3つ紹介します。1つ目は、“一子相伝”とまでは言わないけど、北斗神拳のように「付きっきりで自分のやり方を見せること」です。持つべき視点、考え方の切り口、そのコミュニケーションのやり方などを日々見せてあげると、分かりやすく伝わります。自分の部下に、一番効く方法ですよね。
2つ目は、それを「仕組み化」してあげること。例えば、レビューをする文化がない会社であれば、定期的に振り返りの場を必ずつくって常に過去から学びことができるような仕組みをつくります。仕組みができると、自動的に走り出しますよね。
3つ目は、伊東さんが言ったことですが、「いろいろな人と会って話すように促すこと」です。違う業界を見ることで、違った視点が得られます。こう言うと「足立さんは、どうせ飲み会が好きだからでしょ」と言われてしまうんですけど(笑)。
伊東 はい、すごい必死に飲み会を正当化していらっしゃる(笑)。
足立 でも、これは「無双塾」の狙いでもあって、違う視点を得ることができるから、普段は考えることのない全然違う業界の人の話を聞く場所をつくっているんですよ。同じ会社の上司や部下や、同じ業界の人からは、絶対に教えてもらえないことです。
伊東 それは、大事なことですね。今の「伊東塾」は、私が大事だと思っているエッセンスを伝えるという要素が強いので、今後はもっと参加者に自分で考える時間をつくることで、さらに実践的にしたいと思っているんですよ。
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