ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #09

SNSでモノが買われる時代、アップデートされるマーケティング・モデル

前回の記事:
普通、そこまで監督がやる? 『カメラを止めるな!』 上田慎一郎が伝授するTwitterプロモーション
 ミレニアル世代を代表するビジネスパーソンにアジャイルメディアネットワークの徳力基彦氏がインタビューし、現代のマーケティング担当者が知っておくべき消費者行動やその捉え方を探ります。

 第5回は、今年8月に発売した著書『僕らはSNSでモノを買う』が4刷となり、ヒット中のホットリンク 執行役員CMOの飯髙悠太氏が登場。SNSを活用したマーケティングの課題から、企業の担当者が必要とする視点まで詳しく話を聞きました。
 

ガラケーの「掲示板サイト」は、ネットという感覚ではない




徳力 今年8月に飯高さんが上梓された書籍『僕らはSNSでモノを買う』を読んで、私はとても羨ましいと思いました。

というのも、私自身も「ユーザーがメディア化しているから、SNSでモノが買われるようになっている」と、10年以上ずっと言い続けてきたつもりだったんですが、私たちの世代が企業のマーケティング担当者に伝えても、どうしても「『彼らは』SNSでモノを買うんです」になってしまうんですよね。

担当者の人も頭では分かっているんだけど、何となく現実感がないような感じがしてしまうんです。それが今回、ついに「僕らは」と主語で発信してくれる人が現れたので、しみじみと喜んでいるところです。
徳力基彦 氏
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー/ブロガー ピースオブケイク noteプロデューサー
NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、 2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視する アプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社 長に就任し、2014年3月より現職。2019年6月末で取締役を退任、7月から現職。同月、ピースオブケイク noteプロデ ューサー/ブロガーにも就任。

飯髙 よかったです!

徳力 飯髙さんは1986年生まれですよね。私はインターネットに最初に触れた年代によって、ネット上のコミュニティに対する向き合い方が変わり、それがビジネスにも影響を与えているという仮説を持っています。飯髙さんが最初にインターネットに触れたのは、いつ頃ですか。

飯髙 僕はけっこう遅いですね。大学生の3年生のときに少しだけmixiをやったことでしょうか。
飯髙悠太 氏
ホットリンク 執行役員CMO
広告代理店やスタートアップ企業で複数のWebサービス・メディアの立ち上げ、50社以上のコンサルティングを経験。2014年4月、「ferret」の立ち上げに伴いベーシックに入社後、「ferret」創刊編集長、執行役員を務め、2018年12月末に退職。2019年1月より現職となる。2019年よりホットリンクで執行役員CMO(マーケティング責任者)を務め、支援企業のSNSコンサルティングを実施。

徳力 大学生になるまでケータイのネットサービスは、あまり使っていませんでしたか。

飯髙 そうですね。ケータイは中学生の頃から持っていたのですが、当時はガラケーの掲示板サイトで、自分とは違う中学校に通う友人と連絡を取っていたぐらいでしょうか。

徳力 それは飯髙さんにとっては、インターネットではないんですね。

飯髙 はい、その感覚はなかったですね。

徳力 その感覚の違いが面白いですよね。飯高さんにとってのインターネット上の掲示板サイトは、友だちとの連絡を取り合うためのものだから、メールの延長線上であって、オープンなインターネットではないという意味ですね。

仕事をし始めてからインターネットをしだした私からすると、飯髙さんはデジタルネイティブ過ぎるくらいにネイティブな世代です(笑)。飯髙さんがインターネットにガッツリ関わり出したのは、いつからですか。

飯髙 2008年にTwitterを使い始めたときでしょうか。仕事としては、人材会社で営業を経験した後にクラッチというWebマーケティング会社に入社してからです。そこでFacebookマーケティングの支援や、会社が運営するブログ「ソーシャルメディアのハンパない状況」を立ち上げました。

徳力 ソーシャルメディアがビジネスになり始めていた時期ですよね。

飯髙 そうですね。ちょうどアジャイルメディア・ネットワークさんや、トライバルメディアハウスさんがソーシャルメディア事業を始めるタイミングだったと思います。

その後、2012年にデジタルマーケティング支援会社のハイベロシティに入社して、企業のFacebookページの運営を支援するアプリ「Hivelo Social Apps」を担当して、導入社数を一気に伸ばしていきました。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録