日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #01

ソーシャルグッドからブランドパーパスへ。P&G パンテーンは、なぜ社会問題を題材としたのか?

日本で話題の事例も、海外トレンドの延長線上にあるはず


 「日本は独特、別物だよ」

 「海外事例は参考にならない、日本と外国は違うからね」

 広告コミュニケーションのトレンドを研究していると、こんな声を耳にすることがあります。確かに日本でだけ評価されるような事例は存在するし、直接日本の参考にはならないような海外の事例も存在はします。

 しかし、僕自身は、日本の広告関係者は海外の事例に目を向け続けるべきだと、強く信じています。理由は3つ。1つ目は、他者研究としての海外事例です。日本の例だけに目を向けていては、その発展は単線的になりがち。日本では見かけない例に触れてこそ、新たな発想が生まれるのです。

 2つ目は、日本の広告主にとって海外売上比率は大きくなり続け、50%を越えている会社も少なくないということ。少子化に悩む日本ではこの傾向は今後も増加するでしょう。海外の動向を知らずして、海外でも効果のある施策はつくれません。

 3つ目は、インターネット空間が持つグローバル性です。テレビCMであれば日本の放送局で流している限り日本在住/滞在者しか見ませんが、Web動画であれば世界の人の目に触れるのです。

 私はそんな意図から、多くの海外事例の分析や紹介に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えていこうと思います。
 
 実際、日本で話題になった事例の中には、海外のトレンドの延長線上にあるものが少なからず存在しているのです。

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