ほろ酔いマーケティング談義 Tipsy Tips for Marketers #07
それ、あなたの会社の本当の姿ですか? 中国 NBA騒動が突き付ける、本質を貫くことの難しさ
マーケティング部門だけで完結するブランドづくりの消滅
前回 と前々回 に引き続き、マーケティングイベントBackstageでのセッション「平成における3大マーケティングトピック」からその内容の一部を紹介したいと思います。
このシリーズの最終回となる第3弾は「それ、あなたの会社の本当の姿ですか?」です。
かつてのマスマーケティング全盛期においては、消費者の目にうつる企業やブランドの姿は、広告やマーケティング施策によって「上書き」が可能な時代でした。その背景にあったのは、テレビ、新聞、雑誌といったマスメディアによる情報発信の独占状態でした。
当時は、一般の消費者が企業やブランドがマスマーケティングで発信している内容と異なるブランド体験あるいはサービス体験をしたとしても、そうした声が届くのは発信者の生活範囲にとどまり、それらが連携して大きなボイスとなることは稀有でした。
そんな中、企業の広告メッセージは時代の空気感をまとったメッセージやビジュアルを旬なタレントと旬な音楽に乗せて届ければ、消費者の中にブランドイメージとして定着させることが出来たのです。
しかし今は違います。消費者の声は、TwitterやInstagramなどのSNSを通じて瞬く間に拡散し、連携し、大きな力となり、ブランドはその姿勢を問われることになります。こうした中で、ブランドが発信するメッセージはどうあるべきか。今、多くのマーケターが直面している難しい課題です。なぜなら、それはもはやマーケティング部門だけで解決できる範囲のことではないからです。
ブランドは衣装から本質へ
マーケティング施策だけでブランドづくりが完結する時代は終わりました。商品やサービスのデザイン、顧客体験、コールセンターの対応スピードと品質、従業員の満足度、雇用継続率、株式市場や投資家、ベンチャーキャピタルを含むファイナンスコミュニティの評価、さまざまな要素が絡み合ってブランドイメージ、企業イメージが形成されています。
マーケティング部門でコントロールが可能な広告メディアや協賛イベントを通じたマーケティングメッセージだけで多くを規定することは、もはや不可能です。
経営陣の関与はもちろんですが、マーケティング部門、セールス部門、ファイナンス部門、人事部門など多くの部署が連動することで初めて、ブランドメッセージ、企業メッセージを、消費者に届けることができます。
そして、その際に大事になってくるのは「そのメッセージは、本当にあなたの会社らしいか?あなたのブランドらしいか?」という、季節ごとに着替える衣装ではなく、企業やブランドの本質から始まっているか、という問いかけです。しかし、その実現は決して容易なものではありません。