マーケターズ・ロード 西井敏恭 #04

「ひとつのスキルでは、2年で行き詰まる」西井敏恭からの5つの大事なアドバイス

前回の記事:
引く手あまたのマーケター 西井敏恭は、なぜ成果を出し続けられるのか。

行動力・機動力が課題解決を実現する


西井敏恭氏/にしい・としやす
GROOVE X CMO。シンクロ代表取締役社長。オイシックス・ラ・大地 執行役員 CMT。
化粧品会社にてデジタルマーケティングの責任者を務めた後、独立。オイシックス・ラ・大地で3つの部署を管轄し、シンクロでは大手企業やスタートアップのマーケティング支援を行う。著書に『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』(翔泳社)など。

 最近、転職するマーケターも、フリーで活躍するマーケターも、ますます増えてきていますよね。働き方が多様化するのは、純粋にとても良いことだと感じています。

 しかし、今は一つのスキルで生きていける時代ではないんですよね。今、仮に何らかのスキルがあったとして、そのスキルを生かしてフリーになったところで、5年ほどでそのスキルを食いつぶしてしまったら――いや、5年ももたず、2年くらいで行き詰まってしまう人が多いのではないでしょうか。

 その危機感があるので、僕は、自分が知らないこと・新しいことにチャレンジできない仕事は、極力やらないことにしています。

 今は60歳で定年退職という時代ではありませんから、長いキャリアを見据えて、未経験の領域にどんどん踏み込んでいかなければ、生き残っていけない。それをわかっている人は、どんな場所へ行っても活躍されている気がします。

 マーケターのキャリアづくりについて、僕が後輩にアドバイスできるとしたら、「まずは特定分野で、死ぬ気でトップを目指す」「ビジネスの上流に食い込む」「勉強を怠らない」「顧客目線を徹底する」「行動力・起動力をつける」の5つでしょうか。

 「まずは特定分野で、死ぬ気でトップを目指す」
 デジタルマーケティングは、特定の分野に限定して1年間死ぬ気で取り組めば、その分野においては日本のトップレベルに到達できるはずです。

 例えば、Facebook広告運用を24時間365日1年間本気でやったら、間違いなくFacebook広告運用担当としては日本のトッププレーヤーになれます。1年間で到達できるのだから、まずはそこを目指すべきです。トップになると、見える景色はおのずと変わります。

 しかし一瞬トップになれても、そこで安穏としていられる世界ではない。トップを極めても、変化に対応することをやめなければ、生き残っていけるし、面白い景色を見続けられると思います。

 「ビジネスの上流に食い込む」
 どんなキャリアが成功と言えるのか――結局、ビジネスの上流にいかないと、やりたいこと・やるべきことは実現できないというのが結論だと思います。プロモーションよりも、ユーザー体験。ユーザー体験よりも、商品そのもの。プロモーションがいくら優れていても、ユーザー体験や商品が優れていなければ、生き残れる時代ではありません。

 どんな会社にいっても活躍している西口さん(注:Strategy Partners 代表 西口一希氏)しかり、田岡さん(注:エトヴォス取締役COO・田岡敬氏)しかり、ビジネスを動かしている人は、みんな上流に食い込んでいます。

 プロモーションだけに特化したスキルでは上流には行けませんから、キャリアづくりにおけるスキルの磨き方は、よく考えたほうがいいと思います。

「勉強を怠らない」
 僕が一定レベル「成功」しているとしたら、それば勉強の賜物だと思います。世の中、圧倒的に勉強不足な人が多いんです。知識って、バカにできませんよ。僕は、暇さえあれば本を読みますし、わからないことがあればすぐに人に聞きに行きます。

 また、知識の幅を広げるために、できるだけ若い人と話をするようにしています。シンクロが気鋭のスタートアップに出資をする目的の一つでもあります。

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