トップマーケターが語る2020年の展望 #02

トップマーケターが語る2020年の展望【奥谷孝司、音部大輔、小和田みどり、鈴木健】②

前回の記事:
トップマーケターが語る2020年の展望【足立光、伊東正明、井上大輔、緒方恵】①
 東京オリンピック・パラリンピックが開催され、大きな盛り上がりが予想されている2020年。トップマーケター16人が「2020年の展望」を語ります。第2回は、オイシックス・ラ・大地 奥谷孝司氏、クー・マーケティング・カンパニー 音部大輔氏、ライオン 小和田みどり氏、ニューバランスジャパン 鈴木健氏による展望です。(全4回 ※50音順)。
 

5G時代のコンテンツマーケティングと、アプリ開発に注目


奥谷孝司
オイシックス・ラ・大地 執行役員 COCO / 顧客時間 共同CEO 取締役

 今年の注目は、5G時代のコンテンツマーケティングと、アプリ開発の進化と変化です。動画を活用したストーリーテリング、コンテンツマーケティングの重要性は高まります。優れたデジタルコンテンツづくりで顧客体験を高める企業が現れることでしょう。

 アプリに関しては、アプリのつくり方、使い方を企業が本気で考えないといけない時代。どのような繋がりをスマートフォン上で構築することができるかを考える最初の年になると思います。ただアプリをつくるだけではお客さまとはつながれないことがますます露骨に現れ、差が出てくることでしょう。
 

連携やネットワーク化が、とても重要な要素

 
音部 大輔
クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役

 2020年は、連携やネットワーク化がさらに進んでいくことでしょう。マーケティングのDXをうまく実行するためには、消費者行動の現象や仕組みをデータにもとづいて理解し、客観的論理的に意思決定することが不可欠です。このようなデータに立脚した意思決定をするとき、連携やネットワーク化は、とても重要な要素になるはずです。

 そして、再現性や戦略の重要性などの基本をちゃんと理解している組織やプロフェッショナルは、連携とネットワークを構築しやすいので、今まで以上に有利になるだろうと想像します。
 

行動やマインドはどのように変化するのかはウォッチ

 
小和田みどり
ライオン CSV推進部 部長

 5Gにより格段に上がるスピードで生活者の行動やマインドはどのように変化するのかはウォッチしていきたい。また、2020年オリンピックという大イベントを迎え、人々の気持ちはどのように動いていくのかに注目している。特に海外の方をたくさん迎え、日本人のSDGsや環境に対する意識がどのように変わるのかには注目したい。
 

成長可能性があるビジネス自体が、新しい世代の未来の一部に

 
鈴木健
ニューバランスジャパン シニアマーケティングマネージャー

 2020年はオリンピックという大きな記念すべき契機が日本に訪れるという意味で大きな期待が持てる。同時に、デジタルマーケティング業界はGDPRやCCPAにはじまったクッキー規制が日本でも強化され、企業のマーケティング活動の透明化が求められることで、これまでのテクノロジーの進化に伴った楽天的な拡張が制限され、結果として経済的には停滞することも起こり得る。

 だが、このような「条件」はむしろ積極的に取り組まなければならない「機会」として捉えるべきで、SDGsのように今後世界の課題を解決する社会的な責任を果たすことは、単なるルールを守る以上の意義がある。そういった意味で2020年は、今後企業にとって新しく成長可能性があるビジネスそのものが、新しい世代の未来の一部となる。それはまさに、社会全体を考えながら、対象となる人々の個人情報を安全に保ち、かつ顧客にとっての利便性や価値を高めるという新しいチャレンジの幕開けになる年になるに違いない。

※第3回 鈴木康弘氏、世耕石弘氏、田岡敬氏、富永朋信氏に続く

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