日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #02

「君の名は。」からカンヌまで。強力コンテンツに “乗っかる” レバレッジ型クリエイティブのススメ

海外事例にも多く見られる「レバレッジ型クリエイティブ事例」


 カンヌライオンズなどの海外賞の上位入賞施策にも、コンテンツ・パワーを上手に活用する“レバレッジ型クリエイティブ”の事例は多数見られます。それらの多くが対象としているのが、アメリカの超強力コンテンツである“スーパーボウル”の放映です。

 スーパーボウルは、アメリカで絶大な人気を誇るアメリカン・フットボールの年間の決勝戦。30秒枠1本の値段が4億円とも言われ、大企業各社が多大な予算とエネルギーをかけて特別なテレビCMを制作し、翌日には一般大衆紙がテレビCMランキングを発表するなど、そこで放映されるテレビCMも含めて、全米の話題をさらうコンテンツです。

 このスーパーボウル放映とそこで流されるテレビCMを対象とした“乗っかりクリエイティブ”、レバレッジ型クリエイティブの事例を2つご紹介しましょう。

 カンヌライオンズ2012でダイレクト部門ゴールド他を受賞したコカ・コーラ社のPolar Bowlがその典型です。アメリカでは、シロクマ(ポーラーベア)が長年にわたって、コカ・コーラのキャラクターとして愛されて来ました。そのシロクマ2頭が、スーパーボウルを見ながら一喜一憂するというWeb施策。それぞれのチームカラーのマフラーを巻いて、応援しているチームが活躍すれば歓喜で咆哮し、点を入れられれば嘆き悲しみます。

 また、他社のテレビCMにも反応。セクシーなテレビCMが始まると子供シロクマの目を覆い、ライバル社であるペプシのテレビCMが始まると“つまらん!”ということで居眠りをしたりします。「このWeb施策を見ながら一緒にスーパーボウルを楽しもう!」という内容の屋外広告を事前に掲載などして、SNSを中心に大きな反響を得ました。


 カンヌライオンズ2015でダイレクト部門グランプリなどを受賞した、ボルボ社のInterception(試合で敵のパスを奪い取る“インターセプト”の意)は、さらにユニークな事例です。

 ボルボが行ったのは、Twitterを活用したプレゼント施策。スーパーボウル放映中の他の自動車メーカー(ベンツであれトヨタであれBMWであれ)のテレビCMが流れている間に、#Volvo Contestというハッシュタグを付けて贈りたい人の名前とともに投稿すると、抽選でボルボの車が当たるという企画でした。事例のビデオを見ると、他の自動車メーカーのテレビCM放映中に明らかに#Volvo Contestの付いた投稿が増え(つまり競合他社のテレビCMをきちんと視聴していない)、最終的には5万5千件を越えました。この施策は、ボルボの売上アップにも大きく貢献したと言います。
 

 消費者の興味が高い強力なコンテンツがあるなら、それを上手に利用する方法を考えない手はない。コンテンツ力に“乗っかって”、レバレッジを掛けて自分たちの製品やサービスをプロモートしようとすることは、重要な作戦です。

 各社がしのぎを削って広告コミュニケーションのアイデアを競う中、こんな切り口で考えてみるのも、ひとつの戦術ではないでしょうか。
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