音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #12

ブランドパーパスは、すべての商品に必要でしょうか【音部で壁打ち】

前回の記事:
音部さんが語る、文化が違う海外の人たちと一緒に仕事する時のポイント
 

パーパスとベネフィットはどう違う?

 

【質問】

「ブランドパーパス」が重要だという話をよく聞きますが、それは、あらゆる商品・サービスにとって必要なのでしょうか。

 パーパスという概念は存在意義と呼んでもいいですし、私は大義と訳したりしていますが、「そのブランドが存在することで、世の中にどんな良いことがあるのか」を規定していく方法です。 

 マーケティングの「ベネフィット」という概念と似ていますが、ベネフィットは「ブランドを通して消費者がどんな良い体験をできるか」であるのに対して、パーパスはもう少し範囲が広がり社会全体がどのように良くなるかを示していきます。 

 今回の質問は、その「パーパス・ステートメント(大義、存在意義の表明)」をブランドが持ったほうがいいのか、あるいは持たなくても存在しえるのか、という質問ですね。

 「状況による」という考え方もあるかもしれませんが、存在意義があいまいなブランドというのは長期に存立しにくいように思います。「ブランドマーケターの矜持」にも深く関わるので、持っているべきだろうと思っています。

 その矜持あるいは美学は、ブランドを担当するマーケターである以上、「自分が死ぬときにも手がけていたブランドが元気に存在し、みんなに愛されていること」というものです。ブランドは意味、つまり概念の存在なので本来は寿命がありません。うまく扱えば、人よりも長く生きられます。

 ブランドに長生きしてもらうためには、利益を出し続けなければいけませんし、きちんとしたマーケティング活動や商品群を提供していかなければなりません。その際に、社会に「あってもなくても、どっちでもいいブランド」は、まず生き残れません。世の中に役に立つ存在になり、使ってくれている人はもちろん、そうでない人にとっても必要であることが大事なように思います。

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