音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #13

上司の承認がもらえない!納得してもらうために必要なことは?【音部で「壁打ち」】

前回の記事:
ブランドパーパスは、すべての商品に必要でしょうか【音部で壁打ち】
 

大事なのは、目的を明確化すること

 

【質問】

マーケティングのバックグラウンドがない上司から、企画の承認をもらう際に、どのように説明すればいいでしょうか?

 限られた時間内で上司から決裁をもらう必要があるのに、思考の仕方の違いなど、さまざまな理由で承認してもらえず、苦労することがあるかもしれません。

 どんな場合においても、大事なのは、まず「目的」を明確に理解することです。

 一生懸命に知恵を絞って考えたプランであれば、上司にも自分と同じ思考プロセスを辿って同じ感動を共有したいと思うものです。しかし、常にそうある必要はありません。上司がマーケティングの経験をあまりお持ちでない場合には、さらにそうです。

 提案にいく目的は「自分の考えを理解してもらうこと」ではなく、「上司の承認を得ること」つまり「そのプランでOKだと上司に納得してもらうこと」です。両者は似ていますが、同じではありません。相手に「自分の思考プロセスを辿ってもらい、同じ思考を共有する」というのは、承認してもらう方法の中でも、もっとも困難なものです。そうしたレベルで意思疎通が必要なことも発生しますが、きわめてまれです。日常的なプランの承認であれば、「上司が納得するのに十分な説明」があれば、文字通り、十分であることが多いでしょう。

 説明される上司の立場に立ってみれば「つまるところ、部門長として納得できるか否か」が重要なのです。もし、上司が「考え方」についてあれこれ質問してきたり、「思考プロセス」について追求してくるといったときには、上司があなたを育成することを意識してくれているのかもしれません。自分はどのように考えるべきか、についてフィードバックをもらえるいい機会です。どのように考えたのかを示して改善点を正してもらい、上司の考え方を教えてもらいましょう。「上司のコピー」を作って視点を増やす素晴らしい機会になるかもしれません。

 自分自身が達成すべき目的をきちんと理解したら、次に重要なのは提案の内容です。承認をもらうために提案するプランは、自分自身の名において誇らしいものだと確信できている必要があります。もし誇るのが難しければ、せめて自身の名において恥ずかしくないと思えていることが望ましいです。プロフェッショナルの礼儀としても、矜持としてもとても重要なことだと考えます。承認はされたけれど、自身では納得のいかないプランというのは、プロフェッショナルとしていささか残念な感じがしますね。

 そして提案するにあたっては、上司が達成したい目的を理解できていると効果的で効率的です。この数カ月から一年で何が起きれば上司がハッピーになるか分かっていれば、「このプロジェクトを実行することで、あなたをハッピーにできる」あるいは「私はあなたの目的達成をこのプロジェクトで支援できる」という話し方で提案できます。反対に、上司の心配のタネがわかっていてもいいでしょう。「このプロジェクトを通して、心配のタネをひとつ取り除きましょう」という話であれば、上司にとってはありがたいプロジェクトになるはずです。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録