TOP PLAYER INTERVIEW #24

中澤伸也氏がIDOMからReproに転職 「世界に通用するマーケティグソリューションを実現させたい」

 中古車販売「ガリバー」を運営するIDOMでデジタルマーケティング領域の改革を進めていた中澤伸也氏が16日、企業のカスタマーエンゲージメント支援ツールを提供するReproに転職。取締役 CMO(Chief Marketing Officer)に就任し、プロダクト開発からコミュニケーション戦略までを担う。なぜ事業会社であるIDOMから支援会社側に移ったのか。これからのマーケターのキャリアに求められることは何か、話を聞いた。
(※オンライン取材した後日、屋外で撮影)
 

「マーケターとして4P全てに関わりたい」


——IDOMを退社し、Reproに新たな挑戦の場を求めるということですが、なぜ転職を決意されたのでしょうか。

 実は、IDOMを辞めるのは、1年ほど前から決めていたんです。IDOMに入社したのが5年前。そこで経営陣と約束したのが、IDOMのマーケティングを変革するということ。

 そのミッションの実現が、ちょうど1年ぐらい前に見えてきたので、そのタイミングで、次のことに挑戦しようと。  
中澤 伸也氏家電量販店のソフマップにて、7年間の店舗営業の経験を得た後、2000年にソフマップドットコムのリニューアルPJを担当。80億円強の年間売り上げを達成し、日経ECグランプリを受賞。ゴルフポータルのGDO(ゴルフダイジェストオンライン)にてマーケティング責任者、エクスペリアンジャパンでJAPAN-CMOを経て、IDOMにジョインし、デジタルマーケティングの改革を推進。2020年4月からRepro 取締役 CMO。

——IDOMでは、どのようなミッションを担っていたのでしょうか。

 いくつかコンセプトがあるのですが、特に大事だったのはマーケティングをフロー型からストック型に変えること。

 それまでのIDOMは刈り取り型偏重で、ユーザーをリスティング広告で集めて、コンタクトセンターでアポイントを取り、お店にどんどん送り込んでいくという方式。

 ご存知の通り、基本的には量の勝負で、最終的に顧客化するまでの歩留まりが悪かったんですよね。それは土地が回復する前に作物を育ててしまう焼畑農業と一緒で、徐々にお客さんが減っていくんです。

 一方で、ストック型というのは、例えば、オウンドメディア上にコンテンツをつくり、ユーザーをナーチャリング(育成)して、店舗が受注できる確率を高めていこうとする取り組み。その実現に向けて、データ分析を回しながら必死に動いていきました。また、サービス自体をデジタル化するため、車の査定をAIが診断する「ガリバーオート」をローンチしましたね。

——次のチャレンジとしてReproを選んだ理由は、何でしょうか。

 次に何をしようかと考えてみたところ、自分には2つの選択肢がありました。ひとつは、大手事業会社のデジタルマーケティング責任者です。ヘッドハンターからも、こちらを勧められていました。

 もうひとつは、製品開発も含めたマーケティング責任者です。いわゆる、マーケティングの4P(Product・製品、Price・価格、Place・流通、Promotion・販売促進)を、全てを見るポジションです。

 前者はこれまでのキャリアからすれば、比較的容易に就くことができますが、後者は自分にとって新しい挑戦になると思いました。ただ、以前アジェンダノートで書かせて頂いた「現代のマーケターが抱えるジレンマの正体」でも書かせて頂いた通り、自分も含め、多くのマーケターが関われるのはプロモーションが中心で、4P全てに関われるケースは少ないんです。もっと本質的な価値を自ら創造し世の中に提供していく、4P全体を見ていく仕事がしたいという気持ちが強くなっていました。

 また、自分が10年以上取り組んできた領域は、CRMやエンゲージメントの領域です。この自分の持つ経験をメソッドやソリューションに昇華させ、世の中に役立てることができないかとも考えていました。

 そんなときに、Reproから話をもらいました。ベンチャーなのでリスキーだなと思いながらも(笑)、マーケティングの4P全部に関われること、自分がこだわってきたCRMやエンゲージメント領域のサービスを手掛けていたことに魅力を感じました。

 決定打になったのは、Repro代表の平田祐介が「世界と勝負できるサービスをつくりたい」と語っていたこと。私自身もユーザーとしてReproはカスタマーサクセスに優れていると実感していたので、理想的なポテンシャルがあると思いました。これからのマーケティングソリューションは、優れたツールと人による支援をいかに有機的に組み合わせられるかが重要だと思うのです。

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