日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #06

サントリー「話そう。」 自粛生活の中、ブランドの存在意義を示したお手本

 

海外でも数多く存在 「ブランド・パーパス」に振り切った事例


 ここ数年、海外の優秀事例にはこの“ブランド・パーパスに振り切った事例”が数多く見られ、ブランド・パーパスは一種の流行り言葉になっています。

 有名なのが、カンヌライオンズ2016年のチタニウム部門グランプリそしてプロモ&アクティベーション部門グランプリ他多数受賞した「REI」というアウトドア用品店の「♯OptOutside(アウトドアに出かけるという選択肢)」です。この事例について紹介して行きましょう。
 

 アメリカにはブラックフライデー(黒字になる金曜日)と呼ばれる年末買物商戦の激戦日があります。日本で言えば、年始の初売りの感覚でしょうか。この激戦日に、REIはなんと全143店を休業にして1万2000人の従業員たちに「アウトドアに出かけよう」と呼びかけたのです。

 「我われのビジネスの目的は、人々のアウトドアライフを豊かにすることだ。それを自らの行動で示そうじゃないか」というわけです。このREIの行動は多くの消費者に衝撃を与え、テレビ番組で取り上げられ、SNSで拡散されました。

 この事例も、品揃えの豊富さとか品質の良さとかではなく、自分たちのブランド・パーパスに振り切って、それを「激戦日に全店舗を休業にする」という形で、本気度を持って示した事例だと言えるでしょう。

 ブランド・パーパスは、ここ数年最も注目されている考え方です。以前の記事では「社会的に議論のある事象への言及」という形で紹介しましたが、今回取り上げたように「自分たちのブランドが存在する目的 / 意義は本来何だったのだろう?」ということをベースに置いて、その時々の世の中の事象にヒットするトピックスを取り上げるやり口も見受けられます。

 ご自身の関わっているブランド(商品やサービス)についても、「もともと何のために存在しているんだろう?」と一度じっくり考えてみては、いかがでしょうか?
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