ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #21
スマニューで西口一希氏の部下に。山崎佑介氏が得た、視座の高さとPLへの覚悟
2020/10/09
マーケティング観を変えた、西口一希氏との出会い
徳力 (前編は、こちら)山崎さんがスマニューで働き出して1年ほど経ってから、上司として西口さんがやってきたのですね。最初は、どのような印象を持ったのですか。
山崎 素直に、ロン毛でイケメンだなと思いました。僕より少しキャリアがある程度なら身構えていたかもしれませんが、はるかに多くの経験を積まれてきた方なので・・・。西口さんも最初は僕に全然、期待していませんでしたし。
I am your fan 山崎佑介氏2013年京都大学経済学部卒業後、サイバーエージェントに入社。データアナリストを経て、動画事業の子会社を立ち上げ、YouTuberとしても活動。2016年6月スマートニュースに入社。オンライン・オフラインのマーケティング業務を統括し、話題のテレビCMを数多く制作。2020年4月ファンを軸にマーケティング支援を行うI am your fan(私はあなたのファンです)を設立。
徳力 期待されていなかったんですか。
山崎 はい、すぐに辞めると思っていたみたいです(笑)。西口さんからは「動画をたくさんつくっているけど、ユーザー増えてないじゃん」って言われて、たしかにそうだなと思って・・・。
徳力 山崎さん、素直ですね。
山崎 はい、僕には、例えば「MAU(月間アクティブユーザー数)を倍にする」といったレベルのブレイクスルーが全然できていませんでしたから。当時を振り返って思うのですが、西口さんは入社前から戦略を決めていましたね。
入社前から自腹でリサーチをやっていたし、そのときすでに後に実装することになる英語学習やクーポンチャンネルというアイデアもお持ちでした。
徳力 それまで、いろいろと吸収してきた山崎さんでも、西口さんとの出会いは衝撃だったのですね。
山崎 はい、凄すぎて、得体が知れないと思いました。僕の視点からすると、西口さんのマーケティングは、中学生のときの2コ上の高校生の先輩みたいな感じです。「原チャ乗ってる、やべえ」、「ワックスの使い方がかっけえ」みたいな。何しろ、会話の8割が分かりませんでしたから。
徳力 そうなんですか。
山崎 ただ、自分で偉いなと思うのは、分からなかったことをメモして、後で全部聞いていたことですね。だからミーティング後に、西口さんに時間をもらっていました。でも、それは僕が学びたいからではなく、このチームで結果を出すために、それが分かっていなければ、足手まといになると思ったからです。
これは、サイバーエージェントの考え方なのですが、月に1回想像を超えるような成果を出すよりも、毎日少しだけ期待を超えるということを積み上げていった方が信頼されやすいんです。「信頼の残高を貯めていく」という表現をするのですが。
徳力 へえ、おもしろいですね。今、振り返って、西口さんに気づかされたことは何だと思われますか。
徳力基彦
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー・ブロガー /ピースオブケイク noteプロデューサーNTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、 2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視する アプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より取締役。2019年6月末で退任、7月から現職。同月 ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガーにも就任。
アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー・ブロガー /ピースオブケイク noteプロデューサーNTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、 2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視する アプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より取締役。2019年6月末で退任、7月から現職。同月 ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガーにも就任。
山崎 2倍、3倍伸ばすという目線は、絶対にぶらしたらいけないということです。西口さんは、常に視座が高いんです。僕はユーザーにとって、どんな価値があるかといったことを説明しがちだったのですが、西口さんは絶対に誰が見ても明白にすごいと分かる結果を出し続けました。
それで、サービスが大きくなれば、ユーザーが増えるし、会社として雇用も増やせるので、西口さんのしていることは正しいと思いましたね。
徳力 データの分析ばかりしていると、少し改善していればいいと思えてしまうのですが、先に大きな目標があると、違った見方ができるということですね。
山崎 そうですね。小さな改善も大事ですが、ブランド全体で見ると、効果が限定的でブレイクスルーではないですから。