音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #20
顧客起点は、社会正義ではない。【音部で壁打ち】
【質問】
先日、全社的なマーケティング戦略がミドルマネジメント層を中心に作成され、社内に公表されました。顧客データに基づき、「顧客起点のマーケティング」を展開するという趣旨にはマーケティング部員の全員が賛同しています。
しかし、いざ実行というフェーズになると、どのように顧客起点を徹底するのかという認識にバラツキがあり、どこから手をつければ、いいのかわかりません。音部さんにアドバイスを、いただけないでしょうか。
しかし、いざ実行というフェーズになると、どのように顧客起点を徹底するのかという認識にバラツキがあり、どこから手をつければ、いいのかわかりません。音部さんにアドバイスを、いただけないでしょうか。
顧客起点は社会正義のためではない
つねに消費者を意識し続けるのは、意外と難しいものです。“消費者中心主義”を唱えているCEOでも、実体は“自分の意見中心主義”になっていたりすることもあります。
普段は「消費者が大事」と謳っていながら、ビジネスが苦境に立たされると、ついつい今月の“売上中心主義”になってしまうことは、普通に発生しているように思います。
こうした事態を招く原因のひとつに「消費者中心主義をとるのは、会社の利益を出し続けるために、もっとも効果と効率の高い方法だからだ」という理屈を理解できていないことがあげられます。
顧客起点や消費者中心というと、どこかSDG's的な社会正義に準じているような印象を与えるかもしれません。そうした“善”的な側面を否定するものではありませんが、本来の成り立ちとは異なります。
繰り返しになりますが、「持続的に利益を出し続けるために、もっとも効果的で効率的なアプローチが消費者中心主義である」というのが、本義だと思います。