RYUKYU note #07前編
沖縄発のアロハシャツ「PAIKAJI」は、なぜ人気なのか
2020/12/16
沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来に繋がるストーリーをひも解いていきます。
第7回は、アロハシャツ「PAIKAJI(パイカジ)」を展開するジュネ 取締役の吉田康秀氏。百貨店でのポップアップショップなどで注目を集め、売上を継続的に伸ばしている「PAIKAJI」は、どのようにブランドを確立してきたのでしょうか。ブランディングの必要性を痛感したエピソードから、近年のSDGsを意識した取り組みまで、詳しく話を聞きました。
第7回は、アロハシャツ「PAIKAJI(パイカジ)」を展開するジュネ 取締役の吉田康秀氏。百貨店でのポップアップショップなどで注目を集め、売上を継続的に伸ばしている「PAIKAJI」は、どのようにブランドを確立してきたのでしょうか。ブランディングの必要性を痛感したエピソードから、近年のSDGsを意識した取り組みまで、詳しく話を聞きました。
ハワイでアロハシャツの可能性に気づく
――ジュネは沖縄でアロハシャツブランド「PAIKAJI(パイカジ)」を展開し、男性ファッション誌や百貨店の催事などでも数多く紹介されています。そもそも、なぜ沖縄でアロハシャツの事業を展開しようと考えたのですか。
ジュネは1967年に、私の妻の母親が創業した会社です。私の生まれは新潟ですが、東京のアパレルメーカーで働いていたときに、沖縄出身の妻と出会ったんです。
当時のジュネは3000~4000円程度の価格帯のアロハシャツブランド「Sunwear(サンウェア)」を展開していましたが、正直なところ、その頃の私にはアロハシャツのビジネスに可能性は感じていませんでした。
その考えが変わったのは、1998年にハワイで開かれた友人の結婚式に参列したときです。現地で見たハワイの姿が、沖縄の20年後か30年後だと直感したんです。ハワイにはアロハシャツの専門店が多く、ブランドも10以上あり、なかには何十年も続いているブランドもありました。一方で、当時の沖縄は観光ムードが始まったばかりで、リゾートホテルも数えるほどしかなく、免税店もありません。
そしてジュネのアロハシャツは、ハワイのものと比べても縫製やデザインに遜色がなかったんです。それなら、もっと付加価値を付ければ、ハワイのアロハシャツが100~250ドルで売れているのと同様に、1万円以上で売れると思いました。
そこから創業者である義母から話を聞いたり、ハワイに何度も通ったりしながらアロハシャツへの見識を深めて、ジュネの経営に関わっていきました。その後、ブランドをリノベーションすることになり、沖縄の言葉で「南風」を意味する「PAIKAJI(パイカジ)」と名づけたんです。
――リブランディングは、吉田さんが推進されたんですか。
結果としては、そうなるんですかね。とはいえ、私は理論的なことが得意ではないので、感覚で進めていたところがありました。
当時は、「1万円以上で売る」という根拠のない自信だけがありました。あとは、世界観の伝え方だけを工夫すればいいと考えていましたね。