RYUKYU note #07後編

ミッキーやガンダムともコラボ。沖縄発の人気アロハシャツ「PAIKAJI」の成長戦略

前回の記事:
沖縄発のアロハシャツ「PAIKAJI」は、なぜ人気なのか
 
 沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来に繋がるストーリーをひも解いていきます。

 第7回は、アロハシャツ「PAIKAJI(パイカジ)」を展開するジュネ 取締役の吉田康秀氏。百貨店でのポップアップショップなどで注目を集め、売上を継続的に伸ばしている「PAIKAJI」は、どのようにブランドを確立してきたのでしょうか。ブランディングの必要性を痛感したエピソードから、近年のSDGsを意識した取り組みまで、詳しく話を聞きました(前編は、こちら)。
 

吉田さんが表現するPAIKAJIの世界観


――デザインは吉田さんが手がけているのですか。

 私の役割は、プロデュースとディレクションの間ぐらいでしょうか。デザイナーに意図を伝えて、形にしてもらっています。



――吉田さんが言葉で伝える「PAIKAJI」の世界観とは、どういったものですか。

 多くの方が日々、忙しく生活するなかで「現実から逃避したい」という気持ちを持っていると思います。そんな気持ちがPAIKAJIを着ることで、リラックスできるような世界観を大事にしています。それで、また英気を養ってもらって、仕事や子育てにがんばってもらえたらいいなと。

 今はどのメーカーが出しているアロハシャツも、縫製やデザインのレベルが上がり、横並びに近い状態になっています。なので、お客さまのマインドに働きかけることが大事だと思っています。

 以前、こんなお手紙をもらったことがありました。

 「たまたま父の日に沖縄に遊びに来て、『PAIKAJI』のアロハシャツを家族でプレゼントしたら、お父さんが違う人に見えて盛り上がった」

 自分たちの商品がご家族の思い出のきっかけになり、たった数時間でも和やかなムードをつくることができたと聞いて、そういう存在であることが大事だと確信しました。

――様々なキャラクターともコラボレーションしていますよね。

 そうですね。日本一土地が高いと言われる銀座4丁目の銀座和光さんで2坪借りて、2週間ほど展示させてもらった「歌舞伎ミッキー」のデザインは、1枚5万円という価格にもかかわらず、30分で20枚が完売しました。

――同じアロハでも、デザインによって5万円の値段が付けられるのですね。

 フェラーリと同じように特別なブランドとして売っていきたいという戦略を考えています。そのためにも、ストーリーはしっかり考えないといけません。

 昨年は「ガンダムシリーズ」が40周年を迎え、それを機にコラボレーションが実現しました。ガンダムを担当している方がたまたま「PAIKAJI」のファンで、お誘いいただいたんです。



 その際に、通常のコラボレーションではブランド名を併記するダブルネームですが、名前が2つあると暑苦しいという話になり、「STRICT-G JAPAN」という新しいネームを立ち上げました。

 あるデザインでは、ガンダムの映画から「PAIKAJI」のコンセプトが融合するシーンを抜き出し、デザインに落とし込むように、ストーリーをつなげています。

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