トップマーケターが語る2021年の展望 #04

中村 淳一、西井敏恭、藤原義昭―トップマーケターが語る2021年の展望④

前回の記事:
世耕石弘、田岡敬、田部正樹、富永朋信―トップマーケターが語る2021年の展望③
 新型コロナウイルスの感染拡大が私たちの生活に大きな影響を与えています。2021年は、そうした変化にどう対応していくべきでしょうか。トップマーケターが「2021年の展望」を語ります。
 

アドテク業界の地殻変動が本格的に始まる


中村淳一
Facebook Japan マーケティングサイエンス ノースイーストアジア地域統括

 Apple社のiOS14におけるポリシー変更をはじめ、アドテク業界の地殻変動がより本格的に起こります。本質は利用者のプライバシーへの懸念のため、その動きは変わらず、グローバルプラットフォームはさらに利用者のプライバシー保護を重視した製品開発をしていくでしょう。

 結果として、アドテク業界が得意としていた数字ベースの、ある意味では芸術ともいえる安価で精緻なPDCAをフックにしたビジネスの伸長は限界が見えていきます。多くのアドテク企業は対応に追われるでしょう。逆に人間理解(WHO)や商品開発やビッグアイデア(WHAT)へと舵を切る企業もより多くなると考えています。

 2021年は上記の課題を踏まえ、自社の強みに合わせた「型」を見つけることが各企業のテーマになるでしょう。
 

DXではマーケティングのインハウス化に注目


西井敏恭
シンクロ 代表取締役社長

 激動の2020年でしたが、DXという言葉が浸透して、各社がデジタル化に対して本気で取り組みはじめたのは良いことだと思います。ですがその一方で、「マーケティングにおけるDXとは、単に過去の施策をデジタルに置き換えるのではない」、という部分を理解して行動できている企業はまだまだ少ない。私の所属するシンクロ、オイシックス、GROOVE X(LOVOT)においても、マーケティングはかなりインハウス化しており、DXにおける指標のひとつとして、EC化率などではなく、社内のインハウス化に注目するべきだと思います。もう一点が、マーケティング費用の中で広告以外にいかに投資できるか。非広告における投資割合も注目すべきだと考えます。
 

コロナ禍の経験をマーケティング戦略に生かしていく


藤原義昭
コメ兵ホールディングス 執行役員マーケティング統括部長

 そう簡単には現在のコロナの状況は変わらないと思いますので、2020年に経験したことを活かす必要があります。特にマーケティング領域では予算や人、時間などの資源の配分は昨年以上に変化させる必要があるでしょう。大きな戦略をつくってそれをスケジュール通りに進めていくのではなく、細かいテストをたくさん実施しながらアジャイルで進めていくことが重要だと思います。量と変化できるスピードと体制が重要です。特に経営チームと営業部隊との連携をさらに密にしていく必要があります。
続きの記事:
藤原尚也、本田哲也、山口有希子―トップマーケターが語る2021年の展望⑤

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