トップマーケターが語る2021年の展望 #05

藤原尚也、本田哲也、山口有希子―トップマーケターが語る2021年の展望⑤

前回の記事:
中村 淳一、西井敏恭、藤原義昭―トップマーケターが語る2021年の展望④
 新型コロナウイルスの感染拡大が私たちの生活に大きな影響を与えています。2021年は、そうした変化にどう対応していくべきでしょうか。トップマーケターが「2021年の展望」を語ります。
 

「全社員デジタル人材化」に挑戦する1年に


藤原尚也
青山商事 リブランディング推進室・室長補佐

 2021年は、マーケターにとって大きなチャンスの年だと思います。そう考える理由を3つあげます。

 1.国内だけでなく世界の情勢の変化に伴い、人間の思想に変化があり、行動に影響するため、これまでの通例ややり方が通用しない新しい発想と価値で勝負できます。

 2.上記により、より一層、経営視点が問われる年になるため、「マーケティング=経営」という状況が企業の大小問わず起きます。そのときに、マーケターは視座をさらに高めて広げることで、今ある資産(=価値)を踏まえた、新しい企業価値を創造していくことができると思います。

 3.働き方の変化だけでなく、働く環境の変化も加わり、さらなる「全社員デジタル人材化」をテーマに、デジタルツールや外部リソース(=副業含む)を活用し、早期に日本をデジタル大国に推し上げる基盤づくりにチャレンジする年だと思います。
 

「ナラティブ」をキーワードに社会的な共創構造をつくる


本田哲也
本田事務所 代表取締役

 今年のキーワードは「ナラティブ」です。私はそれを「物語的な共創構造」と定義しています。ナラティブはよくストーリーと混同されますが、ストーリーはブランドが主役の物語なのに対して、ナラティブの主役はむしろ生活者。そして物語の舞台は、市場における戦いではなく社会全体です。

 最後に、ストーリーには「起承転結」があっていつか終わるものですが、ナラティブは現在進行形で終わりがありません。ニューノーマルの時代に重要性が増すのは「社会的な共創」。生活者を含むステークホルダーと、いかにナラティブという共創構造をつくれるか。「ナラティブかどうか?」は、マーケティングにおけるひとつの価値基準になると思います。
 

マーケティング組織のDXを加速して機動力を向上させる


山口 有希子
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 エンタープライズマーケティング本部 本部長

 コロナの影響により加速されたビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を、引き続きドライブしていく必要があります。お客様の変化を捉え、迅速に戦術を変化させる企業の「機動力」が重要になっているのです。そのためには、マーケティング組織・機能自体のDXも加速させていかなくてはならないでしょう。

 また、環境やサステイナビリティ、ダイバーシティに対する消費者の意識変化を感度高く捉え、企業のビジネス、行動、メッセージに反映させることがより重要となっていきます。

 加えてデジタルが広告メディアNo.1となり、よりデジタル広告品質への信頼性が求められる中、2021年春には広告品質認証機構「JICDAQ」が設立され、いよいよ日本でも本格的な取り組みが始まることも注目すべき動きです。

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