RYUKYU note #09後編
オリオンビール CMO吹田龍平太氏が語る、マーケティングで大切なこと
2021/04/05
沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来に繋がるストーリーをひも解いていきます。
第9回は、オリオンビールの専務執行役員CMOの吹田龍平太氏のインタビューをお届けします。オリオンビールは、2019年3月に野村キャピタル・パートナーズとカーライルに買収され、両社が設立したオーシャン・ホールディングスの傘下に入りました。吹田氏は、これまでにコカ・コーラやMHDモエ ヘネシー ディアジオ、ダイソンでマーケティング担当を歴任し、ゴディバでは商品企画の責任者としても活躍。2019年7月にオリオンビールのCMOに就任し、新体制となった同社のマーケティングを率いています。
自身の就任とともに誕生したマーケティング本部の組織づくり、これからのオリオンビールのマーケティング戦略や沖縄企業ならではの強みや弱みを語ってもらいました(前編は、こちら)。
第9回は、オリオンビールの専務執行役員CMOの吹田龍平太氏のインタビューをお届けします。オリオンビールは、2019年3月に野村キャピタル・パートナーズとカーライルに買収され、両社が設立したオーシャン・ホールディングスの傘下に入りました。吹田氏は、これまでにコカ・コーラやMHDモエ ヘネシー ディアジオ、ダイソンでマーケティング担当を歴任し、ゴディバでは商品企画の責任者としても活躍。2019年7月にオリオンビールのCMOに就任し、新体制となった同社のマーケティングを率いています。
自身の就任とともに誕生したマーケティング本部の組織づくり、これからのオリオンビールのマーケティング戦略や沖縄企業ならではの強みや弱みを語ってもらいました(前編は、こちら)。
中低アルのチューハイ「WATTA」は、カテゴリートップのブランドに
――チューハイの「WATTA」シリーズも、新商品をどんどん展開しています。こちらは、どのような意図があるのでしょうか。
最近の傾向として、チューハイは酒類全体で見ても明らかにシェアが拡大してきていますが、オリオンビールにはチューハイの商品展開がありませんでした。なので、その市場に参入することは必然だったと思っています。実は、「WATTA」は新体制になる直前につくられたブランドで、私はそれをどう発展させていくかというところから担当しています。
チューハイカテゴリーは、競合他社も複数のブランドを持っているうえ、同じブランドの中でもどんどん新商品を展開しています。そこで当社でも、移り気な消費者の関心をしっかりと維持していけるよう、新商品を2カ月に1回くらいのペースでローンチし、話題づくりとともに継続的に飲用してもらえるように意識しています。
そのなかで、単純に今月はオレンジ、来月はピーチなどと味を展開していくだけではほかのブランドと差別化できないため、“地産地消”という思いも含めて沖縄の原料を使ったり、沖縄の方が愛着を持っているブランドとコラボしたりすることで、沖縄らしさを出せればと考えています。
――「WATTA」も順調に拡大されているのでしょうか。
はい、沖縄では、低アルコールや中アルコールのカテゴリーの中でトップブランドになっています。食前、食中、食後、どのオケージョンを取っても一番飲まれているチューハイブランドです。
――先日も読谷村のいちご「Berry Moon」を使ったチューハイで、読谷村中が盛り上がっていましたね。そういった素材は、どのように探すのでしょうか。
R&Dを中心に、JAさんなどと密に協力しながら、常にいい素材はないかとアンテナを張っています。売り込みがあって採用する場合もあれば、自分たちの方からアプローチしていく場合もありますね。ブランドとのコラボの場合は、こちらから声を掛けることが多いです。
――今後、高アルコール領域など、狙っていきたいと考えている領域はありますか。
最初、「WATTA」は高アルコールも出していたのですが、今はそちらをやめて中低アルコール領域にフォーカスしています。そういった経緯もあり、会社としても高アルコールを狙う予定はありません。
ただ、基本的に女性をターゲットとしている「WATTA」とは別に、男性の食中というオケージョンには機会があると思っているので、今後何らかの展開を考えてもいいと思っているところです。