RYUKYU note #11前編

串カツ田中にブランド譲渡で注目、沖縄・みたのクリエイトのコロナに打ち勝つ「経営戦略」


――一方で、みたのクリエイトさんのブログで、今年に入ってから佐賀県で居酒屋を出店しているのを知ったのですが、その背景には、何があるのでしょうか。

 実はいま、反対に居酒屋業態の店舗を増やしはじめているんです。というのも、いまはコロナ禍で多くの人が自粛をしている分、アフターコロナは居酒屋バブルになると思っています。

 そこで一気に売上を巻き返すことと、小さくても長く続く業態をつくることを考えていて、現時点で沖縄・佐賀・高知と居酒屋を作っており、それはコロナ後を狙っての戦略です。
 
  

クリエイティブ力が求められ依頼の増えたコロナ禍

――コロナ禍に直面したからこそ、気づけたことや良かったことはありますか。

 たくさんあります。社内と社外のどちらに関しても良かったことがあって。社内では、コストや効率化に対する意識が大きく変わりました。売上が絶好調のときはコストカットをしようとしても、社内に余裕があるので、そこまで真剣に実行できないんです。

 でも、コロナ禍になって社員全員が危機感を同じように抱くと、無駄なコストカットを社内全体が考えるようになります。「このシフトは削りましょう」、「この原価はもう少し抑えましょう」といったように、自発的に社員ができることを考えてくれます。その結果、かなり収益性が上がり、企業として強くなったと思います。コスト意識が上がったということも、これからの財産になると思いますね。

――社外に関しては、何が変わったのでしょうか。

 コロナ前に絶好調だった企業が軒並みダメージを受け、国が提供しているセーフティネット保証など、新型コロナ関連の融資枠で無利子の借り入れを行っています。ですからキャッシュは持っているけれど、今の業態ではこの先やっていけないという企業がとても多いんです。

 売上減少の対応策として、コロナ禍でも収益を上げられるように飲食店も新業態などをつくらなければならないと考えるのですが、我われは1から100にするような拡大できるアイデア出しが不得意です。

 そのときに真価を発揮したのは、当社の強みであるクリエイティブ事業でした。投資先として、新しい事業をつくってくれという依頼が来るんです。ゼロイチの強みが発揮できるタイミングがこのコロナでした。

 それらの依頼を受けて、現在ではアフターコロナを狙った居酒屋業態の店舗を高知や佐賀に出店したり、非アルコール業態のフランチャイズを企画したり商品開発やロゴ制作の依頼なども受けたりしています。これをバネに、コロナ後も依頼元の企業が拡大すれば、それに伴ってみたのクリエイトも利益が上がるという構造です。

 様々な企業から依頼を受けるようになったいまの状態は、実はコロナで騒がれなければあり得なかったことです。串カツ田中さんとの契約は、ちょうどコロナ禍に突入する直前なので、タイミングとしても最適だったと振り返れば思います。

※後編「沖縄・みたのクリエイト田野治樹社長が語る、串カツ田中との提携の次の戦略」に続く
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