日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #17

広告回避を乗り越えよう。「タウンワーク?」キムタクのおとぼけ全開、芦田愛菜ちゃんも登場のテレビCM

 

スーパーボウルで、染みの付いたシャツで登場した解説者


 こういう、正攻法ではないタイプの広告コミュニケーションでは、起用する有名人のキャラが大きくものを言います。そういう意味で、当たり役と言えそうなのが、2017年のスーパーボウルで行われたTideという洗剤の“Bradshaw stain(ブラッドショーの染み)”と名付けられた事例。2017年カンヌライオンズでも、プロモ&アクティベーション金賞などを受賞しました。

 スーパーボウルは全米NO1を決めるアメリカンフットボールの一大イベントで、各社が人気を競うテレビCMの祭典としても知られています。そこに登場していたのは、プレーヤーとしてレジェンドでありスポーツ解説者としても人気のテリー・ブラッドショー。ところが、彼の白いワイシャツの左胸の辺りには、BBQソースと思われる大きな染みが見えているのです。同時に#Bradshaw stainも導入され、テレビを見ていた多くの人がSNSで投稿を始めます。

 テレビCMタイムがやって来ると、同席していたアナウンサーが当人に染みがついていることを指摘します(実はここからすでにTideのテレビCM枠だと思われる)。ブラッドショーは慌てふためいてスタジアムの外へと向かい、道路上で並走する車から知らない若者にからかわれたりしながら、なんとかTideで洗濯をしてくれる人の家にたどり着き、綺麗になったワイシャツで放送席に戻るというストーリーになっていて、好評を博したようです。

 全米の人がエンターテインメントとして楽しみにしているアメリカンフットボールの試合およびその解説と、テレビCMを“押しつけがましくなく”結びつけた面白い事例です。それにしても、ひとつ間違えば“お寒い”演出にもなりかねず、そうならなかったのは、このテリー・ブラッドショーという人のキャラクターが大きく寄与していたのではないでしょうか。

 彼がふだんどんなキャラクターだと認識されていたかを筆者は存じ上げませんが、いかつい風貌に染みも付けかねない“粗忽ものでいいヤツ”な感じは事例ビデオを見るだけでも、そこはかとなく伝わって来ました。
 
“Bradshaw stain(ブラッドショーの染み)”の事例動画

 “押しつけがましくない”形での広告コミュニケーションは、今後も引き続きトライされ続けていくでしょう。どんな新しい事例が出て来るのか、ちょっと楽しみです。
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