売れるモノにはワケがある。PR目線で読み解くヒットの構造 #03

Supremeのコラボはなぜ人気?異業種コラボのPR効果を再考【ラウツマ 松浦隆】

前回の記事:
企業にも「人格」がある。TENGAとWiiの事例から考える【ラウツマ 松浦隆】

Supremeは、コラボアイテムこそ根強い人気がある

 私は着なくなった洋服や靴、バッグや帽子などをちょいちょい売りに出します。といっても、メルカリなどのフリマアプリを利用するわけではなく、知り合いの業者さんに取りに来てもらうという一番楽な方法なのですが。

 で、1週間ほどするとLINEで「今回は、これぐらいの金額になりました」と連絡がきて、こちらが納得すれば後日その金額が振り込まれます。

 以前、その知り合いの業者さんに来てもらった際に「どんな商品が高く売れるんですか?やっぱり今はSupremeですか?」と聞いたところ、「確かにSupremeはそれなりに高く売れますが、偽物も多くて専門の鑑定士に出さないといけないから面倒でして……。あと、Supremeだからといって何でも高く売れるわけではなくて、やはりコラボ品が人気で高価買取になります。APEやギャルソン、NIKEなども、コラボ品は根強い人気があります」と、納得の答え。

 アパレル業界におけるコラボブームは、もう何年前のことになるでしょうか。私の記憶では20年ほど前の「裏原宿ブーム」の頃、国内ドメスティックブランドのコラボが火付け役だったと思います。

 PR視点で見てみると、昨今は企業間コラボのことを「アライアンス」とも言いますね。狙いはそれぞれあると思いますが、主に「シナジー効果」だと思います。

 お互いの弱い部分を補ったり、これまでの顧客とは別の層にアプローチしたりといった効果で、WIN-WINになるのが理想でしょう。
 

コラボ、アライアンスの3つのパターン

 コラボ、アライアンスにはいくつかのパターンがあると思いますが、大きく次の3つに分けられるのではないでしょうか。
 
  1. チャネル(売り場)
  2. キャンペーン
  3. 商品

 まずはチャネル。好例のひとつとして、「ビックロ」が挙げられます。ビックカメラとユニクロとのアライアンスによる店舗が新宿にオープンしたのは、今から6年前。説明の必要はないと思いますが、家電を求めるお客さんと洋服などを求めるお客さんを一度に取り込み、双方の売上増加につなげようという試みです。
 
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 話題性も抜群でした。大手家電量販店と日本最大のアパレルが組むことで、自主的に宣伝などしなくとも多くのメディアが取り上げ、人々が殺到。ビックカメラにしろ、ユニクロにしろ、それぞれ別々に行けば済むことですし、何も一緒にする必要もないだろうという意見もあるかと思いますが、そこに生まれるワクワク感は、多くの人を引きつけます。

 一方、今月22日に閉店することになった「BOOKOFF 渋谷センター街店/ヤフOFF!」は、リユース店のトップ「ブックオフ」と「ヤフオク」の連携で話題となりましたが、電子書籍やフリマアプリの影響でしょうか、時代の流れに飲まれた感があります。


 次に、キャンペーン。マクドナルドとポケモンGOのコラボが例に挙げられます。おそらく、このアジェンダノートでもお馴染み、元・日本マクドナルドCMOの足立光さんが仕掛人であろう、このコラボ。正直、私自身はポケモンGOには興味がなく、ファストフードもほとんど食べないので、実感はあまりなく知識もほぼゼロなのですが、周りの盛り上がりや、子を持つ親の苦労は推して知るべし、です。
 
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 何より、当時落ち込みが激しかったマクドナルドが、これらの施策でV字回復へと向かうわけですから、その効果は絶大だったと言えますし、その後の数々のコラボ、アライアンスにつながっていったと思います。


 最後に、商品。アパレルにおいては、前出のSupremeが話題にこと欠きません。昨年ファッション界で一番大きな話題となったのも「Supreme×ルイ・ヴィトン」のコラボだったと思いますし、その後もスーツケースブランドの「RIMOWA」とのコラボが話題になりました。

 モノが売れない時代に、徹夜して並んで何とか手に入れようとするファンが大勢いるということは、ブランド価値として単純にすごい(転売屋の存在は別としても)。まず断るコラボ相手はいないでしょうから、今後も付加価値バリバリ(!)のコラボ商品が登場することでしょう。
 

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