日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #20

広告でも「ドヤ顔」は嫌われる。イマドキ表現で秀逸なインディードのテレビCM

 

ボルボが“腰の低さ”を全開、スーパーボウルでの施策が面白い


 米国のスーパーボウルは、アメリカンフットボールの全米チャンピオンを決める試合で、その放映におけるテレビCM枠は、30秒1本で4億円と言われています。

 有名企業がこぞって大金を払ってテレビCM枠を買い、そこで披露するために多額の制作費をかけたテレビCMをつくって、人気を競うのが常となっています。テレビCMコンテストのような様相も呈し、翌日には流されたテレビCMの人気ランキングなども発表されているようです。

 そのスーパーボウルの放映時に、ボルボはテレビCM費を一銭も使わずに多大な効果をあげるTwitter施策を仕掛けました。それが、2015年カンヌライオンズPR部門でゴールドを受賞した「Interception」。アメリカンフットボールで敵のパスをカットして奪う“インターセプト”からの命名でしょう。

 何をしたかと言うと、ベンツやらBMWやらレクサスやら、世界の名だたる自動車メーカーがスーパーボウル放映でテレビCMを流しているその時間に、「#Volvo Contest」というハッシュタグを付けて、自分が大好きな誰かに「ボルボをプレゼントしたい」とTwitterに投稿すると、ボルボのクルマが当たる、というキャンペーンです。

 ミソは、ライバル社のテレビCMがスーパーボウル放映で流れている間だけ、有効だということ。投稿は5万5000を越えて大きな話題となり、ウォール・ストリート・ジャーナルは、ボルボによる“ツイッター・タッチダウン”だと伝えました。

 この施策の事例ビデオの冒頭でも「ボルボは(辺境の)スウェーデンの車なので、法外なメディア費は払えない。だからこそこんな施策を行った」と徹底的に低姿勢です。この低姿勢は、ボルボの米国における質実剛健なイメージとも合致しているのでしょう。
 

 今の時代、ドヤ顔のコミュニケーションは、嫌われる傾向にあります。力づくで迫って来る広告を“うざい”と感じる人が多いのでしょう。

 でも、メッセージは伝えたいし、成果も挙げたい。そんな時に、どうやって“ドヤ顔しない”広告コミュニケーションを考え出し、仕掛けていくか? これからも、各社の知恵比べが続きそうです。
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