女性の心を捉えるためには「エビデンス＋情緒」が大切 【コーセー・吉野家・ライオン・RIZAP 座談会】

マーケターの腕が試される、女性のインサイト発見

田中 今後、さらに女性ターゲットを開拓していきたい立場としてぜひ伺いたいのですが、女性のインサイトって、どうやって発見すればいいのでしょうか？調査から抽出できますか？

小林 僕は、女性のグループインタビュー（グルイン）は、やり方を注意する必要があると思っているんですよ。発言力のある人が一人いると、もう他は流されてしまう。だから、意見はなるべく個別に聞くようにしています。一人ひとりに聞かないと、女性はなかなか本音を言ってくれません。

鈴木 たしかに、商品の試食の場で、そういう空気を感じることがあります。誰かが「美味しい」と言ったら、「不味い」とは言いづらくなってしまうんですよね（笑）。



横手 社内稟議を通すことや手段としてデータが必要ということもあり、グルインは今後もやめるわけにはいかないな……と思っています。グルインに対するマーケターとしての認識が大切ですね。その意味で、女性のインサイトを探る上で、最近ではソーシャルメディア上の発話を併用分析するケースが増えています。

 一人でするソーシャル上での発言と、他人が周りにいるグルインでの発言を組み合わせて、その人の本音がどこにあるのか検討するんです。従来型の調査から見えてくる真実ももちろんありますが、それに加えてソーシャルメディアや個別インタビューを活用し、多角的に得た情報を自分なりに編集・消化して、真実のインサイトを見出す必要があると思います。マーケターの腕が試されますね。

小林 「注意する」なんて言いましたが、僕らもグルインをやらないわけにはいきません。だから、グルインのモデレーターは、特定の方を指名するくらい重視しています。その場で発言力のある人を瞬時に見抜き、その場にいるすべてのメンバーに対して中立な立場で耳を傾けられる、専門的な能力が必要ですね。
 

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