日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #番外編

世界最高峰の広告コミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ」 マーケターにとって、どんな意味があるの?

 2021年10月8日、「ネプラス・ユー」というマーケティングカンファレンスがリアルとオンラインの2ウェイで開催され、その中で「変化するカンヌライオンズ」と題されたセミナーが行われました。

登壇したのは、博報堂 執行役員の木村健太郎さんと私こと多摩美術大学 教授の佐藤達郎、司会進行役として リクルート マーケティングの萩原幸也さんです。カンヌライオンズは、世界最高峰とされる広告・マーケティング関連の国際広告賞で、賞審査&贈賞式と多くのセミナーと参加者同士の交流で構成される大規模なフェスティバルです。今回、そのセッションの内容をレポートします。
 

登壇者3人の立ち位置とセミナーが意図したこと




 ネプラス・ユーの参加者の中心は、企業側のマーケターです。一方でカンヌライオンズは、広告会社に所属するクリエイターの祭典というイメージが強く持たれています。

 しかしながら、広告会社クリエイターのための祭典であったのは20世紀の話で、今では企業側のマーケターの参加者も多く、またマーケターにとっても意味合いの大きなイベントになっています。

 このセミナーは、カンヌライオンズのエキスパートである木村健太郎さんと私が、マーケター代表としての萩原さんの質問に答えていくという形で、「企業側マーケターにとってのカンヌライオンズ」について、少しでも明らかにしていこうと企画されました。

 萩原さんは、2017年にモバイル部門グランプリという受賞歴を持っていて、日々企業側のマーケターとして活躍されています。今回のモデレーターとしては、最適な人選でしょう。
 
リクルート マーケティング室 クリエイティブディレクター 萩原幸也氏

 木村健太郎さんは、世界での多くの受賞歴と堪能な英語力を活かして、審査員やスピーカーとしてもカンヌライオンズに参加し続けている日本を代表する“カンヌライオンズ・エキスパート”です。
 
博報堂 執行役員 木村 健太郎氏

 私こと佐藤達郎は、広告会社のクリエイティブ・ディレクターを経て2011年から大学教授へ。広告会社の社員時代にカンヌライオンズ受賞や審査員も経験し、その後もウォッチングと分析を続け、日本における“カンヌライオンズ・エキスパート”のひとりであると自認しています。

 そして木村さんと私は、旧知の“カンヌ仲間”でもあります。別々の会社にいた時も、たくさんの情報共有や意見交換、そして飲み会などで友情も育みました。今回のセミナーでは、そんな長い時間と情報と意見と感情を共有して来た2人の“カンヌライオンズ・エキスパート”が、グランプリ受賞経験者である企業側マーケターの萩原さんの質問に答える形で進んでいきました。

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