トップマーケターが語る2022年の展望 #04
奥谷孝司、片山義丈、中村淳一、山口有希子 ―トップマーケターが語る2022年の展望④
2022/01/11
新型コロナウイルスの感染拡大は、まだ完全に収束が見える状況にはありません。パンデミックをきっかけに消費者の購買行動やコミュニケーションに変化が見られるなか、2022年における企業のマーケティング活動はどのように変化していくのでしょうか。トップマーケターが「2022年の展望」を語ります。
真のDX推進に必要なのはCHROとMarTech
奥谷 孝司
オイシックス・ラ・大地
執行役員 COCO・顧客時間共同CEO 取締役
オイシックス・ラ・大地
執行役員 COCO・顧客時間共同CEO 取締役
2022年は(Marketing)と 技術(Technology)を掛け合わせたMarTechの推進が重要になると思います。MarTechの目的はCX(顧客体験)の向上ですが、この体験の実現には従業員のデジタル活用への理解とサポートが必要です。つまり、デジタルを使って従業員の生産性を高めるのはもちろん、お客さまと繋がれる環境提供を通して、従業員体験(EX:Emoplyee Experience)の向上にCHRO(最高人事責任者)が寄与するべきです。そのために、CHROには以下の3点に取り組んでほしいと思います。
第1に、「テクノロジーを活用した生産性の高い労働環境の提供」です。CHROは、現場で使われているテクノロジーの把握からそれが業務負荷の軽減(増加)につながっているのかを自らの目で確認するべきでしょう。そして、問題があれば経営陣に改善を求めるべきです。第2に、「テクノロジーを活用した販売接客行動への評価制度確立」です。これに必要なツール導入などをCHROが推進するべきです。そして、実際の評価制度に落とし込んでもらいたい。最後に、「DX人材の育成と積極的採用によるHR Disruption(人事制度改革)」です。社内DX人材の育成に加えて、積極的な外部DX人材の採用も必要でしょう。企業をより筋肉質化するためにも、DX、MarTechをリードするCHROが必要なのです。2022年、優れた人事部門がある企業が、更なる成長を遂げることでしょう。
データやツールに踊らされず、自社や自分に向き合う
片山 義丈
ダイキン工業
総務部 広告宣伝グループ長
ダイキン工業
総務部 広告宣伝グループ長
コロナによる変化が大きいのは当然であるが、そちらに目を奪われすぎないことが大切。まずは人間の営みの多くは変わらないことをしっかりと踏まえ、データやツールに踊らされることなく、しっかりと自分という人間と向き合うこと。次に自らの企業や商品のパーパス、つまり「あなたの企業・商品が世の中からなくなっても、他の企業・商品があるので、私はまったく困らないのだが、どんな損があるの?」と仮に質問されたときの答えを明らかする。人間と向き合い、パーパスを踏まえた上でしっかりと仮説を立てて、データやツールを活用してマーケティングに取り組んでいきたい。
共創を目指すコミュニケーションの重要性
中村 淳一
Meta
マーケティングサイエンスノースイーストアジア統括
Meta
マーケティングサイエンスノースイーストアジア統括
昨年はプライバシー問題からアドテク業界の地殻変動が起きるという話をさせていただきました。今年は昨年、その対策として行われた色々な施策の是非が問われるのではないでしょうか。
一方でプライバシー問題の本質は、企業から個人へのどういう広告に触れたいのかというコントロールの移譲だと思っています。従来の企業から個人への一方通行的なコミュニケーションだけではなく、企業と個人や個人の属するコミュニティー間での対話やサービス・商品の共創を目指していくコミュニケーションの重要性がより増していくでしょう。ソーシャルプラットフォームのあり方もよりその流れに合わせて進化し、その重要性が増していくと思います。
「志」を言語化し、共有する
山口有希子
パナソニックコネクティッドソリューションズ社
常務 CMO
パナソニックコネクティッドソリューションズ社
常務 CMO
マーケターが共創しながらドライブする「パーパス経営」 「人の考えに影響を与え、行動変革を起こす」ことは、誰にとっても大きなチャレンジです。企業においても、自社の「志=パーパス」に共感してもらい、その「志=パーパス」の実現を目指す仲間になって一緒に行動してもらうことはとても重要となります。
今まさに、その「志」を言語化し、共有するという、マーケターとして素晴らしいチャンスに恵まれています。なぜなら、4月のパナソニックのホールディング制に移行に伴い、私が所属する事業部門は、「パナソニック コネクト株式会社」という新会社になるからです。 2022年、社内外の様々なステークホルダーと「共創」しながら、意味ある、意義ある「パーパス経営」をドライブしていきたいと思います。