日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #24
ダイソンのテレビCMに注目 「お求めは直接つくり手から」で伝えるD2Cビジネスのメリット
中国KFCのアプリ施策。Productはもちろん、Placeも大事
海外でも、4PのPlace(どこで売るか?)に機会を捉えた事例があります。2017年カンヌライオンズのモバイル部門ゴールド他を受賞したKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)のPocket Franchiseです。
中国では一時期、外食と言えばKFCという時期もあったようですが、SNSやデリバリーの発達で、リアル店舗での発売は苦戦を強いられていました。そこでKFCが行ったのは、中国でいちばん人気のSNSであるWeChat上にユーザーが自分自身の店舗(フランチャイズ)を開くことができるPocket Franchiseというアプリの開発でした。
ユーザーはWeChat上で、自由にデザインをカスタマイズして“店舗”を出し、友人などがそのアプリ店舗を通じて購買すれば、そのオーナーもインセンティブ(割引や商品)が得られるようにしました。すると、一気に友人同士のアプリ店舗間での購買が起き、初日だけで56万ものアプリ店舗がオープンしたと言います。
そうするうちに著名人までがKFCのアプリ店舗を開き大きな話題となり、4か月後には、トータルで250万以上のアプリ店舗がオープンしました。結果として、4200万人民元(当時のレートで約6.6億円)もの巨額の売上を記録したそうです。
SNSやネット上でインフルエンサーによる販促を通じてその場で購入する「ライブEコマース」が大人気だという中国ならではの盛り上がり、という気もしないでもありませんが、 “Place”には、まだまだいろいろなチャンスが潜んでいるのかもしれません。
KFC“Pocket Franchise”の事例ビデオは、こちらでご覧いただけます。
D to Cが注目される現在でも、流通企業が果たす役割が依然として大きいことに変わりはありません。しかし、それは以前とは確実に変化してきていますし、今後も変化が続くでしょう。そしてその変化が、広告コミュニケーションにも大きな影響を与えて行くでしょう。引き続き、この領域にも注目していきたいと思います。
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