音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #35

P&G出身者ばかり? マーケティング業界で成長し、プレゼンスを上げるための考え方

前回の記事:
マーケティング初心者は、何を学ぶと良いのか【音部で壁打ち】

【質問】

「元P&Gのトップマーケター」という言葉が取りざたされるように、最近マーケティング業界の社歴重視が強くなっている気がします。そのような中で非エリートマーケターがのし上がっていくためには、どうすればよいのでしょうか。キャリアパス、セルフブランディングなど、進んでいくべき道についてアドバイスがあれば教えてください。
 

個々の経験自体に大きな違いはない


 一口に元〇〇のマーケターと言っても、それぞれの個人はさまざまです。どこそこの大学出身とか、MBAの学位があるなどといった経歴から、人材の大雑把な傾向はつかめても具体的な能力やスキルを推し量れるわけではないのと同じです。

 それぞれの個人は固有の艱難辛苦(かんなんしんく)に立ち向かい、挫折を乗り越え、挑戦を続けます。そうした経験は独自の強みや個性を育み、いずれ活躍すべき場所や状況など得手、不得手など特徴にもつながるでしょう。こうした経緯は、どこの組織のどのプロフェッショナルでも似たようなものです。特定の会社に所属した事実がことさら重要なわけではありません。

 とはいえ、組織によっては成長の速度に多少の違いが認められることがあります。米国企業をはじめ、欧州企業、国内の大企業や中小企業、スタートアップなど、いろいろな規模と種類の組織に関与してきたことで、違いの一端が見えてきました。成長を「昨日できなかったことが明日できる」と理解すれば、経験の蓄積や新しい知識が成長の主成分であると分かります。昨日知らなかったやり方を今日知ることで、明日はきっとできるようになるでしょう。

 つまり、経験値を稼ぎやすい組織は、成長しやすい組織であると推察できます。10年目のプロフェッショナルは、本人の3年目時点よりも成長し、貢献も大きいことが期待されます。それは、7年分のさまざまな経験を経験値や知識として使え、できることが増えているからです。その7年分の経験や知識を、もし2年間で獲得できるなら、きっとそれは成長しやすい組織です。では、そのためには、何に気をつければいいのでしょう。

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