日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #27
“オマケ”が購買を促進。独特の面白みを出すサントリーのテレビCMと、海外の秀逸事例
愛犬家の隠れたニーズを見事に捉えたドッグフードの企画
商品性と上手に関連した“オマケ”にフォーカスした成功事例として、「カンヌライオンズ2018」でモバイル部門のゴールドを受賞した、Pedigreeの「Selfie STIX(セルフィ―・スティックス)」をご紹介しましょう。
愛犬家の密かな悩みのひとつが、スマートホンでワンちゃんと一緒に写真を撮ろうと思っても、犬がなかなかスマホの方を向いてじっとしてくれないということがあるそうです。すぐに顔をそむけてしまうので、なかなか良い写真が撮れないというのです。そこでSTIXというペディグリーの商品をハメてスマホの上に括り付けられるクリップを開発しました。ワンちゃんはそのドッグフード欲しさに、スマホカメラのレンズをじっと見て、めでたくセルフィ―が撮れるということになります。
Pedigreeはこのクリップを、STIXを買えば必ずもらえるオマケとして商品に付け、また写真上でワンちゃんの顔に帽子を被せるなどの加工ができるアプリも開発しました。
ドッグフードの広告コミュニケーションを考えようとする時、従来は「愛犬のための栄養が豊富」や「愛犬が喜んで食べる」など商品の良さをどう伝えるか?に知恵を絞りました。しかしながら、そういったメッセージでは、もはやなかなか愛犬家の心は動かされません。ドッグフードをめぐる環境の中では、「ワンちゃんと一緒にセルフィ―を撮ることが可能になる」ということこそが、“買いたくなる”ポイントだったのです。この“ポイントを突いたオマケの開発”という形で、売上24%アップという大きな成果を挙げたことになります。
「オマケで商品を売ろうとするなんて邪道だ」なんてお考えの方は、いないでしょうか? 商品性に基づいた秀逸なオマケであれば、ユーザーに喜ばれ、売上アップの強力な武器になり、広告コミュニケーションで伝えるべきメッセージにも十分になり得るのですね。
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