TOP PLAYER INTERVIEW #01

男性エグゼクティブは淘汰され、ベテラン女性は出世。世界のPR業界の現在【ブルーカレント・ジャパン 本田哲也】

海外で起きている、PR業界の潮流の変化

 私はこの数年、審査員としてカンヌライオンズに参加していますが、近年の世界的な潮流のひとつに国連機関やNPO・NGOなどが積極的に推進しているSDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)があります。そして、SDGsの普及には、世の中の空気をつくるPR的なアプローチがフィットします。
 
http://www.ladbible.com/trashisles/welcome
環境保護団体Plastic OceansとニュースサイトのLAD bibleが、海洋ゴミが招く環境破壊に反対するために行った「Trash Isles(ゴミ諸島)」。
 今回、強く感じたのは、ソーシャルグッドが売上につながるという、ビジネスの根幹にまで帰着しているということです。世界的な企業であるP&Gやユニリーバも公言していますが、SDGsやジェンダーイコールに取り組んでいるブランドの方が成果をあげることが多くなってきました。

 ユニリーバによるセッションでは、人種や性別を含めてダイバーシティを意識したキャンペーンが成果を出したデータを明示していました。つまり、SDGsを推進したい国連などのパブリックな機関と、ビジネスを成功させたい企業の思惑が合致しているのです。そして、そこにPRの仕事が創出していると実感しています。

 ところが、日本企業はまだまだそうしたキャンペーンが実施できていません。本来であれば、同じように仮説を立ててキャンペーンを回し、ブランドドリフトや売上との相関を見ていくべきなのですが、そこまでたどり着いていないのです。



 その理由は、日本企業が中長期的なブランドマネジメントよりも、目先の売上を重視したプロモーションに力を入れる傾向が強いためです。これは単純に企業側のマインドの問題であり、日本と世界の消費者の意識が違うというわけではありません。その証拠にインターネットの普及で、海外と日本の消費者が同じエンターテインメントコンテンツに熱狂するなど、垣根は低くなっています。

 日本企業が売上をつくるためにソーシャルグッドな施策を始めるには、時間がかかるかもしれませんが、今後は強化していくべきでしょう。
 
続きの記事:
PRパーソンに求められる「スキル」が10年間で変化した【ブルーカレント・ジャパン 本田哲也】
他の連載記事:
TOP PLAYER INTERVIEW の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録