売れるモノにはワケがある。PR目線で読み解くヒットの構造 #06
映画「カメラを止めるな!」ヒットで再認識した、PRの大原則
PRの基本は、やはり「いかにお金をかけずに最大限の効果を出すか」
日本の映画界における王道のPRと言えば、主演の人気俳優が各局のバラエティ番組に出演し、テレビCMを打ち、試写会イベントに旬なタレントを呼び、マスコミを集めてマスメディアに少しでも多く取り上げてもらう……といったところ。一方で、『カメラを止めるな!』は、一般のSNSユーザーがPRパーソンとなって大ヒットにつながった極めて稀有な例と言えます。翻って、とにかくお金をかけて行われるPRの安易さに、寂しさを覚えてしまいました。
王道は王道で間違いではないと思いますが、王道のPR手法は、ネットもSNSもなく情報発信の場がほぼマスメディアしかなかった時代から変わっていません。しかし現在では、情報発信は無論、マスメディアだけのものではありません。“一億総発信者時代”、PRのあり方も柔軟に変わっていくべきだと思います。
「テレビCMにいくら使いましょう」「イベントは〇回やって、一回あたりこのバジェットでいきましょう」みたいなところからスタートするのではなく、“できるだけ低額で、効果の高い斬新な施策を仕掛ける”ということをまずは考えてみるのが、PRパーソンの仕事ではないかと、あらためて感じました。
映画の製作費と同様、いつの日か「このPRはたったの〇〇万円で行われました」というニュースが世に流れることを期待しつつ、今から『カメラを止めるな!』を観に行こうと思います。「え、まだ観てないの!?」というツッコミは勘弁してください。