【速報】カンヌライオンズ2022現地レポート #03

カンヌライオンズ2022から見えた傾向、再確認された「従来型」広告表現の力

前回の記事:
カンヌライオンズ2022はクリエイティブBtoBの新設で29部門へ、9トラックにも改変あり
  数日前の日曜日、カンヌから戻りました。カンヌから日本への道のりは大変に遠く、さらにコロナ禍やウクライナ紛争の影響か航空業界はまだまだ混乱の真っ最中で、私が乗った飛行機もかなりの遅れが出て苦労しました。そんな中、まだ時差ボケが残る6月30日に書いているのですが、急ぎ第3回目のレポートをお送りします。今回と最終回となる第4回は、主な受賞作とその傾向についてご紹介していきましょう。
 

カンヌライオンズ2022受賞作の特徴は、大きく3つ

 
ライオン像をカジュアルに持ち歩く受賞者も少なくない。

 毎年カンヌ・ライオンズの取材から戻って来ると、「今年の傾向を一言で教えてくれ!」という要望をいただきます。広告会社の勤務時代には、先輩から会社の廊下ですれ違いざまに「達郎くん、今年のカンヌを一言で言うと?」とお題を投げ掛けられることさえありました。

 そんな時には、いつもこう答えていました。

「〇〇さん、受賞作はブロンズ以上で約1000点あるんですよ。1000点の特徴を一言では言えないでしょう!」

 今年は応募数がちょっと少なかった影響か、ブロンズ以上は826点(応募作全体の約3.2%)でした。それにしても多いです。私が知る限り、カンヌライオンズの審査では、「多様なタイプの良いものを褒めよう」という姿勢があり、「今年の傾向はこうだ!」と一言でまとめるのは、返ってその精神に反するようにも思います。

 とはいえ、様々な部門でグランプリやゴールドを受賞する今年の話題作を見ると、いくつかの傾向は見えてきます。これも絶対の正解が存在するわけではなく、「佐藤達郎にはそう感じられた」に過ぎないのですが、読者の皆さんが受賞作を見る際のヒントに少しでもなればと考えて披露してみます。

 そうしたことから言うと、今年のカンヌライオンズで目立った特徴を私なりの視点でまとめると、以下の3点となります。
 
① 社会問題の解決をテクノロジーの活用で
② ヘビーな話題を軽めのタッチで身近に
③ クラシック広告の再評価

 ①は、いわゆる先進国ではない国で行われたものが多く、インドやメキシコ、ホンジュラスといった国々が舞台でした。贈賞式に出ていても、インドとメキシコの受賞作がとても多いと感じました。

 ②は同じく社会問題の解決やヘビーな話題を取り扱っているのですが、それを真正面から重く取り上げるのではなく、少し軽めのトーンでユーモラスに取り上げて身近さを狙ったと思われる受賞作です。ブランド・エクスピリエンス&アクティベーション部門ゴールド他を受賞した「Plastic Fishing Tournament」(コロナビールがメキシコで行った)などがその代表例でしょう。

 この①と②については、次回第4回で取り上げるとして、今回は③の「クラシック広告の再評価」について、詳しく取り上げてみましょう。

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