2023年 注目のマーケター・企業が語る展望 #02

トップマーケターが語る2023年の展望【中村淳一、西井敏恭、萩原幸也、藤原尚也】②

前回の記事:
トップマーケターが語る2023年の展望【石戸亮、音部大輔、世耕石弘、富山浩樹】①
  原材料費や物流コストの高騰、歴史的な円安、新型コロナウイルスなど、2023年も非常に不安定な時代となることが予測されます。そうした変化の激しい時代に、マーケターはどう対応していくべきでしょうか。トップマーケターが「2023年の展望」を語ります。
 

データドリブンマーケティングと価値共創


Facebookジャパン
マーケティングサイエンス統括、執行役員
中村 淳一 氏

 2022年は、マーケティングとはどう有るべきかについて多くの場で議論され、ある意味過渡期だったと思います。たとえば、データプライバシー問題からパーソナナライズとの共存、結果としてのクリーンルームの出現がありました。また、インフルエンサーから始まり、クリエイターエコノミーが発展したこと。その中で、ブランドからの一方的なPRやお願いではなく、クリエイターの共感力を活かした共創など、多くの部分での変化を肌で感じていました。

 2023年も引き続き、新しいプライバシー時代のデータドリブンマーケティングとしてのパフォーマンスの向上と、価値共創という概念がより重要になってくると思います。メタバースという未来志向からの新たな取り組みでは、AIを活かした効果的・効率的なマーケティングの追求と価値共創時代のマーケティングのあり方について、当社としても両輪で取り組んでいきます。
 

「インバウンド×DX」に注目


株式会社シンクロ
代表取締役社長
西井 敏恭 氏

 ここ数年DXという言葉が当たり前になった影響もあり、2022年くらいからデジタル人材が顕著に不足していると、言われるようになりました。米国ではリスキリングや、プレイブックなどの言葉が当たり前に使われるようになり、人材の育成や社内ノウハウの蓄積がフォーカスされているように感じます。そもそも、従来はマーケティングという言葉は広告を中心に話されてきたことが多かったですが、この数年は顧客体験にとてもフォーカスがあたっていると感じます。結果的に、各社似たような手法を実施するのではなく、「その会社にとってのマーケティング」が必要になってきていると思います。

 特に注目している領域は「インバウンド×DX」です。2年ぶりに海外への渡航が解禁になり、昨年はサッカーワールドカップカタール大会や欧州に行きましたが、日本と観光先進国との間でデジタルの使い方に大きな格差を感じました。日本のマーケターもぜひ国内や社内(ましてやリモートでの自宅内)から飛び出して、さまざまな国を見て回ってほしいなと思います。
 

直感や創造的思考がより求められる年


リクルート マーケティング室 クリエイティブディレクター
萩原 幸也 氏

 昨年は、「サイエンスとアートは二項対立ではなく掛け合わせるもの」という話を各所で発信してきました。その中身をものすごくざっくりと説明すると、「予測不能な環境下では、客観やロジカル思考だけではなく、直感や創造的思考も重要である」ということです。そうでなければ、新しいアイデアや人の心を動かすような施策は生まれにくいでしょう。そして、2023年のコロナ以降の社会では、そういった側面がより重要になるはずです。

 さて、話は変わりますが、今後の私自身の話をすると、今年こそは腹筋を割り、本を書いて、個展を開催したいと思っています。がんばります。
 

多様性への対応とリアルのデジタルメディア化


アクティブ合同会社 CEO
藤原 尚也 氏

 2023年は、各社におけるEC事業の拡大が減少傾向になると思います。コロナの落ち着きに伴い、人の行動はリアルに戻り、より人と人とのリアルなコミュニケーションを求める傾向が強くなるでしょう。その中で、持続可能な社会への意識が高まり、インバウンド市場も戻り、多様な人の行動や価値観に合うコンテンツの質の向上が求められていくと考えます。そのためデジタル上ではなく、リアルの世界にデジタルを導入することが重要です。例えば、デジタルサイネージを進化させてAIを活用し、来店客に合わせた提案を表示したり、顧客のスマホ端末に情報をリアルタイムで届けたり、CRMと連動して顧客のステータス別に施策展開がしたりすることが考えられます。さまざまな商品やサービスで「サステナブル」が当たり前の機能として存在するレベルになり、リユースやCtoCへの発展が求められると思います。

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