RYUKYU note #13後編

15坪で月1000万円の売上。コロナ禍で県外進出を強化したブルーシールのマーケティング戦略【代表取締役 山本隆二氏インタビュー】

前回の記事:
沖縄アイス「ブルーシール」が70年以上も愛されてきた理由を紐解く【代表取締役 山本隆二氏 インタビュー】
 沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来に繋がるストーリーをひも解いていきます。

 第13回は、「アイスがもたらす、笑顔のために」という理念をかかげ、沖縄を軸にアイスクリームを提供する「ブルーシール」を運営するフォーモスト ブルーシール 代表取締役の山本隆二氏が登場。後編では、サスティナブルな食材としてのアイスクリームと、企業間コラボレーションの背景、ブルーシールのロゴにかける想い、マーケティングで重要なことなどについて聞きました。
 

アイスクリームはサスティナブルな食材


――コロナ禍で県外へ積極的に出店し、現在のところ県外では34店舗ほど構えています。どのような狙いがあるのでしょうか。
 
フォーモスト ブルーシール 代表取締役
山本 隆二 氏

 コロナ禍で沖縄に観光客が来られなくなってしまうことは、前半でもお伝えしたとおり本土に還流する収益が得られなくなってしまう状況に直結します(前編は、こちら)。そのため、まずは県外で数店舗を出店してみたところ、15坪の店舗で月1000万円を売り上げるなど非常に好調でした。

 本土には沖縄に行きたいけれど、行けない人がいて、ブルーシールというブランドだけでお客さまが来店してくれるという事実が分かりました。今では、いろいろなテストケースを経て、この条件であれば必ず成功するという黄金律が掴めてきました。

――それは面白いですね。店舗の拡大は、どういった戦略で進めていったのでしょうか。

 我々はフランチャイズビジネスになるので、店舗指導を行うスーパーバイザー(SV)の数に合わせて出店しているだけです。今ではありがたいことに、多くの人にオーナーとして立候補していただいているので、こちらが選んで出店を進めている状態です。



――なぜそんなにオーナーの立候補が多いのですか。

 それは、アイスクリームのビジネスがローコストでできるからです。たとえば、居酒屋で消費できずに賞味期限が切れてしまう食材は全体のどれくらいあると思いますか。コロナ禍では、約9割という店舗もあったそうです。一方で、アイスは冷凍物であり、賞味期限が極めて長い。そのためアイスはSDGsやフードロスといったサスティナブルな側面を持った食材でもあるわけです。

 また15坪で月に1000万円も売れたので、その話を聞きつけた企業から多くの立候補をいただいています。最近では、居酒屋などの飲食店からの業態変更も多いです。

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