TOP PLAYER INTERVIEW #37

新たなコーポレートステートメントに込めた想いとは、ユナイテッドアローズ CDOの藤原氏が語る

前回の記事:
前年比20%増の利益で黒字転換を達成したユナイテッドアローズ、好調の背景とは?【CDO 藤原義昭氏インタビュー】
  ユナイテッドアローズの2022年4~9月期連結業績の売上総利益は前年同期比20.4%増となり、営業利益、純利益ともに黒字転換しました。前半ではその好調の要因や値下げ抑制することができた背景に迫りました。後半では、ブランドの一貫性を保つためにある根底のカルチャーや今後成長していくための施策、新たなコーポレートステートメントについて、同社 チーフデジタルオフィサーの藤原義昭氏に聞きました。
 

会社のカルチャーが、ブランドの一貫性をつくる


――今後、コロナが落ち着いていけば、店舗での売上増加が重要になっていくと思いますが、OMO(Online Merges with Offline)による店舗とデジタルの掛け合わせで重視していることは何でしょうか。
  
ユナイテッドアローズ チーフデジタルオフィサー
藤原 義昭 氏

 最も重視していることは、ブランドの一貫性です。店舗で感じることとデジタルで感じることがバラバラであれば、当然CX(カスタマーエクスペリエンス)は悪くなってしまいます。それは目に見えるビジュアルも、体験もそうです。そのためには、会社が大切にしていることをすべての施策にしっかりと落とし込むことが重要だと考えます。

 ただそれは上から「こうやりなさい」と言われて取り組むことではなく、日々の業務を通して会社のカルチャーをどのように積み重ねるかだと思います。比較的、我々はそれがしっかりとできていることが強みにつながっていると感じていますね。

 そのカルチャーが何かと言えば、それは「丁寧であること(真心と美意識)」によって築かれる信頼関係を大事にしていることです。お客さまに対して「丁寧」に接客することはもちろんですが、社員同士やお取引先と「丁寧」に話をするように、単純なコミュニケーションを徹底しています。

――今後、組織として成長していくために重要なことは何だと思いますか。

 我々の「丁寧」というカルチャーの本質は変わりませんが、やり方は変えていくべきだと考えています。たとえば、20年前のアパレルでは、雑誌メディアを中心に商品を売り出していました。しかし、現在ではSNSを中心に個人のメディアの影響力が強くなってきており、決して見過ごすことはできません。

 現在、ソーシャルメディアは我々のお客さまには少ないZ世代を中心に使われていますが、だからといってソーシャルメディアが必要ではないというわけではありません。ソーシャルメディアで爆発的に拡散したコンテンツは、Z世代だけではなく、XやY世代にも広がります。それにより、我々のブランドを想起して店舗に来てもらえるわけです。

 我々のような大きなアパレル企業では、情報に触れてから商品を購入するまでのフローがとても長くなります。そのため、1on1の状況をつくることができる店舗でも、世代ごとのコミュニケーションを丁寧に考え、しっかりと関係性を構築していく必要があります。単純に、現在の40~50代の人たちが触れているメディアに広告を出せば売れるという時代ではないので、世の中の空気感を捉え、今のコミュニケーションの在り方を考えながら計画し、実行するべきだと思います。

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