マーケターズ・ロード 石橋昌文 #04
「自分もひとりの消費者であることを忘れてはいけない」ネスレ日本 CMO退任 石橋昌文氏からのメッセージ
既に事業として「サステナビリティ」に取り組んでいた
今後、私自身はアドバイザリーとして、ネスレでの仕事に携わっていきます。ネスレは今後も「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」というパーパスに沿って活動を続けていきます。
その中で、特に注力されている領域は「栄養」です。超高齢社会が進む日本で、その領域はどんどんと成長するだろうと考えています。現在のネスレのポートフォリオでは、病人食や食事を飲み込めない人向けの栄養食品などが成長しています。
もうひとつ注力するのは「サステナビリティ」への取り組みです。ネスレは、世の中でサステナビリティやSDGsという言葉が聞かれるようになる何十年も前から、企業活動の一環として行っています。
たとえば、カカオ農家やコーヒー農家を支援する「ネスレ カカオプラン」、「ネスカフェ プラン」という活動や、インドや中国の貧しい集落で牛を飼えるようにして、そこから牛乳を集めて製品をつくり、収入を得られるようにするといった活動をしています。その集落で牛乳を売って収入を得られる人が増えれば、コミュニティが活性化し、そこに学校が建てられるようになります。これまで産業がなかったところに産業を生み出すことで、その地域のコミュニティを支えることを続けてきたわけです。
そのほかにも水資源の問題や海洋汚染の問題、プラスチックやCO2の削減などにも取り組んできました。そして国連がSDGsを掲げてからは、ネスレがそれまで取り組んできたさまざまな活動をSDGsに紐づけ、年1回レポートとして発表しています。それまでもCSV(Creating Shared Value)レポートという形で発表していたので、その内容をSDGsの文脈に沿って整理したというだけで、何十年と続けている活動内容は変わらず、これからもずっと続けていく所存です。