日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #36

サントリー「社長のおごり自販機」 人と人との繋がりを製品を通してつくる粋な挑戦

 

少し古い例ですが、コカ・コーラ社の秀逸事例を紹介


「社長のおごり自販機」の元ネタのひとつにもなっていそうな事例が、10年と少し前にコカ・コーラ社が行った「フレンドシップ・マシーン」です。この施策は、2011年カンヌライオンズで、ダイレクト部門ゴールドなどを受賞しました。もちろん、もしこれが元ネタのひとつだったとしても(それも分かりませんが)、私には非難する気は皆無で、むしろよく勉強して素晴らしく現代風にアレンジした「社長のおごり自販機」担当スタッフの手腕に、拍手を送りたい気持ちです。

 さて「フレンドシップ・マシーン」は、7月の“国際フレンドシップデー”に合わせて、世界7カ国でインスタレーション的に設置された特別な自動販売機です。縦に長く引き伸ばされた巨大な自販機の上のほう、普通の身長では到底届かないところに、特別な硬貨投入口が設けられています。その硬貨投入口にコカ・コーラ1本分のお金を入れると2本出てくる、という企画です。

 このベネフィットを得るためには、肩グルマをするとか、騎馬戦みたいに2人で1人を腿の上に乗っけるとか、友人同士の協力関係が必要で、つまりは“フレンドシップ・マシーン”というわけですね。事例ビデオには、楽しそうにトライする様々な友人の姿が映し出されています。

「CocaCola Friendship Machine」の事例ビデオは、こちらで
 

 この事例の段階では、メディアに取り上げられたや、ブログで取り上げられたなどがリザルト(結果)として素朴に述べられていて、今見ると、隔世の感がします。

「フレンドシップ・マシーン」が1日だけの施策で話題化が主な目的に見えるのに対して、「社長のおごり自販機」は、話題化も狙ってはいるものの、サントリーという会社が様々な企業のオフィスでの“人と人との繋がり”を、自販機や製品を通して、サステナブルに応援するという姿勢が見て取れて、10年も経つと施策の在り方も変化するものだなとの感慨も持ちました。
他の連載記事:
日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録