RYUKYU note #14前編

コンビニシェアNo. 1を実現し続ける沖縄ファミリーマート、徹底した「地域ド密着」のマーケティング

 

競争が激化した2019年以降、店舗の改装で巻き返し


――近年では沖縄県内でも競争環境が激化していますが、どのように対策されていますか?

 2019年7月にセブン-イレブンさんが沖縄に進出しました。それまでは、沖縄ファミリーマートとローソンさんだけだったので、平均すると1店舗あたり2500人ぐらいの商圏でした。これは全国上位で1店舗あたりの人口が多く、非常に恵まれた環境でした。また、観光客もたくさん来店してもらっていたこともプラスでしたね。

 ところが、それから約4年経った現在、2023年の2月にセブン-イレブンさんが沖縄全土に150店舗出店することを達成しました。その影響で、1店舗あたりの人口は2000人を切り、全国的に見ても激戦区に変わってしまったんです。さらに、新型コロナの影響で観光客も減るという外部環境の影響により厳しい状況となりました。

 ただ、そんな状況でも特別なことは行わず、環境の変化に適応することが重要だという考えのもと、我々は店舗の改装に力を入れました。沖縄ファミリーマートでは、加盟店との契約から10年経つと基本的には再契約という形で新たな契約を結びます。そのタイミングで、店内の什器など、店舗の中身をガラッと大きく変えるんです。

 また、10年経っていない店舗は全面改装ができないので、プチ改装をしました。具体的には、冷凍食品が売れる時代になってきたので、冷凍食品用の什器を増やしたり、デザートの什器を投入したり、コーヒーマシンを増やしたりと、時代の変化と消費者のニーズに合わせた改装を行いました。

 店内改装の効果もあり、客単価が上がりました。日商としてはまだ2019年には追いついていませんが、ある程度キャッチアップできるところまで戻ってきています。
  

――ハード面に注力して売上を改善されたのですね。

 沖縄という特性はあるものの、時代とともに売れる商品は変わっています。たとえば20年前では雑誌がすごく売れましたが、スマホの普及等があり、今では立ち読みが減少し、昔と同じ大きさのスペースが必要でなくなった側面等があります。

 その分、揚げ物は売れるのでフライヤーを少し多めに導入するなど、現代の消費者に買ってもらえる商品をしっかりと用意することを徹底してきました。店舗の改装を行い、消費者が求める商品を店舗に並べることで、客単価アップにつながったと思います。

 さらに、コロナ禍で「巣ごもり需要」という言葉が流行ったように、遠くのスーパーよりも近くのコンビニでまとめて買う現象も起こり、客単価のアップにつながったと思います。もともと沖縄は電車が通っておらず車社会なので、その影響がより促進されたと考えられます。結果的に、コロナ禍では住宅立地の店舗の売上が上昇しました。

※後編「沖縄独自のコンテンツで売上20%UP、デジタルサイネージや店舗開発でも徹底した「地域ド密着」を実践する沖縄ファミリーマート」に続く
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