サステナビリティ特別対談 #01
日本最大級の産後ケアホテル「マームガーデン葉山」、サステナビリティ×ビジネスの舞台裏にファミマ CMO足立光氏が迫る
家族で一緒に宿泊できる産後ケアホテル
足立 今回、マムズが設立した産後ケアホテル「マームガーデン葉山」には、どのようなこだわりがあるのでしょうか。
斎藤 自治体からの公費に頼らず、我々が本当に提供したいサービス、お客さまが本当に求めるサービスを追求することで、ホテルとしても、産後ケアとしても満足できる施設でありたいという想いが強くあります。
足立 素敵な施設なので、値段はやや張りそうに思うのですが、おいくらくらいなのでしょうか。
斎藤 部屋にもよりますが、オプション不要で1泊2万9400円からです。
足立 それで、滞在日数は平均2週間ですよね。
斎藤 はい。決して安いとは言えない値段だと思います。ただ、ホテル業としてのサービスに加えて、24時間365日どのタイミングでも赤ちゃんを預けることができ、産後のお母さんのケアも行っているので、どうしても人件費がかかってしまうんです。
もちろん事業として、利益は出るようにしています。ただ、正直ギリギリのラインで、法外に高い値段を設定しているわけでもないんですよ。
足立 実際に産後ケアホテルを利用する方は、どのような期待をもって入られ、出ていくときには、どのような感想を持たれることが多いのでしょうか。
斎藤 初めて利用された方からは、「産後の心配があっても、それを何とかできる先がなかったから『産後ケアホテル』という存在を知れたこと自体が妊娠期の安定につながった」と言っていただきました。
また、「親には頼れないから、産後ケアのすべてを一人でやらなければならず、本当に不安だったけれど、産後ケアホテルを使ったことでお産を楽しむことができ、もう一人産みたいと思いました」という声もたくさんいただきました。
足立 なるほど。利用された旦那さまからは、どのような意見がありますか。
斎藤 「産後ケアホテルを使わなかったときの状態が想像できないくらい、利用して良かったと思います。第1子の育児への負荷がすごく大きいことは知っていたので、一人でなくて良かったし、助けてくれるところがあって安心しました」と言っていただきました。
これは行政が運営している産後ケアホテルとの違いですが、旦那さまも宿泊されるケースがすごく多いんです。当社としては、家族みんなでリゾートホテルとしても満喫できるという要素を大切にしていて、家族での宿泊を推奨しています。その中には、旦那さまが週末だけ泊まりにくるという人もいれば、ホテルからリモートワークで出勤するという人もいらっしゃいます。
足立 それは良いことばかりですね。では、今後の課題があるとしたら、何でしょうか。
斎藤 現在は、葉山にしか産後ケアホテルがないので、どんなに素敵だと思っていただいたとしても、その受け皿が十分にないことが課題です。また、金額についても、もちろんそれだけの価値を感じて使っていただいていますが、選択肢としてもう少し安いプライシングのホテルをつくり、利益を出せるようにならなければ、本当の意味で「産後ケア」が当たり前の世の中にはならないだろうと思います。
足立 そうですよね。1泊3万円だと、気軽に泊まろうと思える人がたくさんいる市場ではないなと思いました。その辺りの選択肢が、今より下の価格帯はもちろん、上にもあっていいかもしれませんね。
斎藤 そうですね。そこは今後の課題として取り組んでいきます。
※後編に続く
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