サステナビリティ特別対談 #02

三方よしの「産後ケアホテル」 新ビジネスの啓蒙に挑戦する「マームガーデン葉山」斎藤睦美氏の想い

 2023年3月8日の「国際女性の日」に開催された「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2023 for SDGs」で、持続可能な社会づくりに貢献すると共に自身もいきいきと輝き、さらなる活躍が期待できる女性として、産後ケアホテル「マームガーデン葉山」を運営するマムズ CEO/産後ケアホテル「マームガーデン葉山」事業責任者の斎藤睦美氏が「HAPPY WOMAN賞」を受賞。

 同氏は、出産後の母をケアし、心身の回復や育児のサポートを行う「産後ケア」に注目し、自身の保育分野での経験や、自社のホテル運営経験などを掛け合わせて、母親の笑顔をつくるために日本最大級産後ケアホテル「マームガーデン葉山」をオープン。

 そこで、今回はファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)であり、ファミリーマートのサステナビリティ委員会の委員長でもある足立光氏が、斎藤氏にマーケティング視点でインタビューを実施。前編では、「産後ケア」市場やそもそも事業立ち上げの背景などに迫った。後編では、家族として「産後ケア」にどのように向き合うか、旦那さんにとっての価値や今後の事業の展望について聞いた。
 

「産後ケア」の重要性お父さんにとっても一生物の価値


足立 当社も今年3月の国際女性デーに合わせて、オリジナルブランドの「コンビニエンスウェア」から、からだにやさしい無漂白オーガニックコットンを使用した「吸水ショーツ」などを東京都内の一部店舗限定で発売するなど、様々な取り組みを実施しておりますが、今回、斎藤さんが「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2023 for SDGs」にて「HAPPY WOMAN賞」を受賞されたポイントは、何であったとお考えですか。

斎藤 今までは、女性が必ず大変な思いをする「出産」に対して、その大変さを解消できるサービスが本当の意味では存在しなかったということだと思います。出産を経験してきた人にとってもカルチャーショックで、「たしかに産後は大変だったから、それをサポートしてもらえるのであれば、こんなに素晴らしいことはないよね」と共感してもらえたのだと思います。
  
マムズ CEO/産後ケアホテル「マームガーデン葉山」事業責任者
斎藤 睦美 氏

足立 「マームガーデン葉山」が特に評価されているポイントは何だと思いますか。

斎藤 従来の産後ケア施設は、産後ケアを広めるための活動を行っていませんでした。ただ当社は、まず「産後ケア」への認知を広げて市場を形成するために、Webサイトや妊娠アプリへの広告出稿などに力を入れています。さらに、利用者の声を発信していくことで、「私も使いたい」と思ってもらうという新たなサイクルを生み出しました。

足立 世の中の多くの人は、企業に勤めています。日本全体として「産後ケア」を広めるために、企業側ができることはあるのでしょうか。たとえば、ファミリーマートでは、産前産後のケアを意識した面談があったり、小学校1年生までは有給休暇とは別に休みが取れたりする制度があります。

斎藤 今後、産後ケア施設は全国に増えていくと思います。そこで、産後ケア施設の利用を福利厚生で補助するなど、企業が産後をサポートしてくれる世の中になればいいなと思っています。我々はそれを推進するために、100社に100泊ずつ無料で宿泊を提供するというキャンペーンを行っています。

足立 企業に向けた産後ケアホテルの視察ツアーがあれば、前向きに検討してもらいやすいかもしれませんね。経営者には、まだまだ男性が多いので、産後がそんなに大変であるとそもそも理解してもらえない可能性もあると思います。

斎藤 おっしゃる通りですね。それと、よく言われるのが、旦那様が産後のサポートをしていないと、奥様から一生恨まれるって。

足立 ああ、なるほど。多分、私も恨まれていますね(笑)。

斎藤 旦那様にとっても、自分でケアできない代わりに産後ケアホテルを利用して、奥様に良い思い出として一生喜んでもらえるというのは、すごく良いと思いまます。

足立 それは、ものすごく良いですね。一生、ずっと思い出に残る話ですからね。
  
ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)
足立 光 氏

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録