TOP PLAYER INTERVIEW #41

ドラッグストア市場でシェア日本1位獲得、I-neの商品開発責任者が語る好調の背景【執行役員 藤岡礼記氏】

 

ただ商品を増やすのではない、筋肉質な経営に


――先ほどの「クラフト」「アート」「サイエンス」の3つのバランスが重要である中で、一般的には「クラフト」と「サイエンス」を重視した商品開発が多い印象です。「アート」が重要であると気づいたのは、どのような背景があるのでしょうか。

 I-neには、商品の原材料を一からつくるような研究者はいません。世の中に「クラフト」と「サイエンス」が優れている商品は多く存在していたので、「アート」が大事になると、経営陣では、創業時から話していました。

 もともと創業メンバーはクリエイティブ好きが集まっているので、それぞれの生い立ちから「アート」の重要性に気づいたのかもしれません。

―― 社内に技術者がいないことは、どのように補っていますか。

 現状、I-neとして自社で工場は持っていませんが、社外にいる多くのプロフェッショナルとつながっていることがむしろ強みになっています。中国、米国、欧州など世界中の工場や研究所とネットワークを持っています。


引用:株式会社I-ne中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)より

 仮に新しい商品をつくりたいと考えても、自社工場にリソースがなかったら実現性が低いですよね。我々は、たとえば、この工場が難しい場合は、他の工場に頼む、など臨機応変に開発ができる体制を整えています。ただし、将来的にはコストやスピードなどを考慮して自社で工場や研究所を持つ可能性もあります。

 「サイエンス」の部分は、当社の社外取締役の足立光さん(ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター CMO)からの教えも大きいです。以前、私が取締役会で「新商品が出ました!」と報告したところ、足立さんから「どの商品をやめたの? ただ商品数を増やすだけではなく、筋肉質な経営にしないとだめだよ」と言われたことが印象に残っています。売れていない商品を販売し続けたり、次々と新商品を出して売上を増やすような考え方では、これからの時代は勝てないということを教わりました。

※後編「「全社員マーケターであるべき」夜間美容シャンプーのヒットからI-ne独自の考え方に迫る【執行役員 藤岡礼記氏】」へ
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